※ この記事は,2019年度入試までのことを参考に書いたものです。
入試当日にはお昼休みがある。
しかも,70分。
この時間,子どもたちは校舎から出て,保護者たちと合流することもできる。
この時間に行われている過ごし方として,今まで見てきたことを書いておこう。
ただし,校舎内でどのように過ごしているのかはわからないので,校舎外のことに限る。
友だちと一緒にごはんを食べる
いちばんよく見かけるのが,これだ。
外のベンチや芝生,階段の一部などに座り,談笑しながらごはんを食べる。
受験当日にいちばん大切なのは,リラックスしていつもの力を発揮することだから,いつも一緒に勉強してきた友だちと一緒に過ごすことは,大きくプラスになる。
家族と一緒にごはんを食べる
遠方からの受験など,一緒に過ごす友だちがいない場合,こういった子もいる。
前述のものと同じく,支えてくれた家族と一緒に過ごしてリラックスするのに良い効果があるだろう。
暗唱会
お昼休みが終わると,理科社会の試験が待っている。
だから,塾によっては子どもたちを集めて暗唱会をするところもある。
私も保護者から「先生はやらないんですか?」と言われたことが一度だけある。
暗唱会は何のためにするのだろう?
私が考えるに,3つの狙いがあるだろう。
1.集団で暗唱することにより,周りにプレッシャーを与える。
(受験は定員のある相対的な勝負である)
2.保護者への宣伝。
(うちの塾はここまで世話していますよ!とアピールする絶好の機会)
3.あわよくば,暗唱したところが出題されればラッキー。
(みんなで暗唱したことにより,もしひとつでも当たれば宣伝になる)
こんなところだろう。
実は,3年前に6年生を指導しているときに,こんな場面があった。
私「昼休み中に暗唱会し始めるところがあるけど,周りにプレッシャー与えるのと保護者アピールが目的だから,気にせんでええで」
子ども「先生!それは当たっています!実は以前○○塾に通っていたときに,そこの先生がそんなことを言っていました!」
そこの塾の先生のジョークだったのかもしれないが,だいたい当たっていたようだ。
いずれにせよ,昼休みの過ごし方はリラックスに使うのがいちばんだし,「昼休みは○○時に○○に集合して暗唱会に参加しなきゃ…」などという余計な予定を入れる負担を強いるのは逆効果となることのほうが大きいだろう。
私の塾ではやらない。
むしろ,周りで「プレッシャーを与えようとする塾がある」ということは,本当にプレッシャーになる恐れがあるから, 事前に子どもたちに知らせておかないわけにはいかない。
また,その塾に対して何ら恨みがあるわけでも何でもないが,自分の受け持つ子どもたちのためには,「周りにプレッシャーを与えようとする行為」には批判的な対応を取らざるを得ない。
鬼ごっこ
外にはやや開けたスペースもあるため,子どもたちが走り回ったりする。
これも3年前の子どもたちだけれど,この鬼ごっこをしていた子たちが平気で合格した。
彼女らは決して余裕で合格するような子たちではなく,周りに対して余裕をかましたわけではない。
だけど,リラックスするという昼休みの使い方をしっかり実践できていたのだ。
とはいえ「鬼ごっこがベストだ」とは言わない。
何をすればリラックスできるかは個人個人の問題だろう。
むしろ手首をひねる心配などもあるからあえて推奨はしない
しかし,結果的には私のほうが子どもたちに「昼休みの過ごし方を教わった」ように感じた。
やるべきでないこと
「終わった試験に関する話題」
子どもから切り出した場合は別だが,大人側から「終わった試験についてどうだったか」をたずねるのは論外だ。
全部終わり切ったあとならいくらか反省をしたりするのは構わないが,まだ途中なのだ。
試験の話題をするならば,残る理科社会の試験にどう臨むかくらいだろう。
子どもが国語算数について「できなかった」と言ってきた場合。
そこそこできている子ほど,できなかった問題に引きずられがちだ。
「全部できた」と言っておいて全く取れていない子もいる。
だから,当日頭がハイになった状態で「できている」「できていない」はそもそも正常に判断できていないと思った方が良い。
「できなかった」と言われたら,例えば「その問題は周りもできていない子が多いだろう。周りと差がついていないなら気に病む必要はない。一番を取ることではなく,合格圏に入ることが目的だ。」,こういった旨の話などをし,理科社会に気持ちを引きずらないよう誘導するのが一番だ。
「簡単な問題でミスした」と悔やむ子もいるが,「そもそも今まで過去問を解いていたときも,簡単な問題でミスすることは日常茶飯事であり,それも含めて実力である」ことを思い出してほしい。
だけど,上記のものはほんの一例だ。
なぜなら,子どもの性質によってどういった声掛けがベストかは異なる。
大事な場面でベストな声掛けをするならば,やはりふだんから講師や保護者が子どもの性質を見抜いておくことが何より大切となる。
講師としては,それぞれの子どもたちの全科目の実力,そして日常生活での性質を知るためにも,一人の講師が子ども一人一人の全部を受け持つ覚悟が重要だ。
まとめ
昼休みでいちばん大切なことは,リラックスしていつもの力を出せるようにすること。
できれば同じ目標をもつ仲間を作っておくこと。
ネガティブな気持ちになりそうになったときに,大人が適切な声掛けをすること。
…これらが重要だといえる。