スローペースでちょくちょく読んでおりました。
「LEARN LIKE A PRO」
著者はバーバラ・オークレー氏とオラフ・シーヴェ氏。
邦題は「学び方の学び方」。
センスのある邦題なのだけれど,個人的には「学び方の手ほどき」だとか「学び方についての考察」のような意味合いのタイトルであってほしかった。
内容は全10章からなるが,脳科学や神経科学といった見地から述べられたものから小手先のテクニックまで多岐にわたり,いろいろな本の内容が一冊に納まっているような,そんな本だといえる。
たとえば,ポモドーロ・テクニックやメモリーパレス(記憶の宮殿 / 場所法),ハードスタートなど,学習法について勉強したことがある方ならば,どこかで聞いたことのあるワードであろう。
(実践したかどうかは人によるだろうけれど…。)
また,キャッチーな語句ではないけれど,「記憶を内在化する」「集中モードと拡散モードを使い分ける」といった,日常生活のあらゆるものごとに応用できる話題もあり,タイヘン勉強になった。
「試験で好成績を上げるには?」など受験では誰もが必要としている内容も書いてあったけれど,これは本を読むことにより,より自身の考えをまとめるのに役立った。
(まさに,孫氏の兵法,「敵を知り己を知れば百選殆からず」に通ずるなぁと思ったり。「試験」はその具体的な「試験」の特徴を知り,己の実力を客観的に評価してこそ,充分な力が発揮できるもの。)
ただザンネンな点を挙げると,訳者が忙しかったのか,本文中に誤植が多く,また英語圏向けの内容は英語圏向けのままになっていたことだろうか…。
邦訳されたものを読むと,英語を使った例示をわざわざ日本人向けの例示に変更されているものがあったりするため,そのあたりが気になってしまった。
さて,こういった実用書は,「他者の視点でまとめられたもの,アウトプットされたもの」を読み,それをどう受け止めるか,どう受け流すか,…は読者次第だと考えている。
だから,同じ本を読んだとしても,どのように思考が変化したかは人それぞれである。
私が読んだ感想としては,今年出版された本の中でも,学習に関する内容としては誰にとっても勉強になる良書であると考えている。