連続で。
理科の指導について思うこと
当然のことなのだけれど。
小中の理科の先生,「理科」の専門の先生はたくさんおれど,「物理」「化学」「生物」「地学」すべての専門家は居ないもの。
(「居ない証明は全て調査しなければできない」ため,私が存じ上げないだけでどこかには居るのかもしれないが,申し訳ないけれどそれを調べるのに時間と労力は割かない。)
私も大学の専攻は「化学」のみであり,その例に漏れない。
理科って何なんだ……と思ってしまうのだけれど,小学1~2年生の科目「せいかつ」と高校の「物理」「化学」「生物」「地学」の繋ぎにある中途半端な科目のこと──で良いと思う。
(高校生にとっての理科は「物理」「化学」「生物」「地学」の総称になると思いますが,小中の理科の話題になります。)
理科の指導をする上で,文字通りの知識を披露するだけにとどまる理科教師と,深い部分まで認識した上で必要な部分をかいつまんで指導している理科教師に分かれるのだなぁと,そう認識する機会は多い。
私も理科の指導はしているけれど,科学に関して知らないことはあまりに多い。
磁北と真北の違いについて学んだのも記憶に新しい。
ゆえに,問題を自作する場合・解説する場合,常に「本当にそうか?」と調べたり専門の人に聞いてみたりし,自身の中で結論を出してから解説するようにしている。
よって,検討の甘い出題があった場合,それをふまえた解説を迫られる場合もある。
理科の出題について思うこと
たとえば。
小学6年生では「物の燃え方」について学習する。
この単元では,「ろうそくを燃やしたあとの空気」について詳しく学習するのだけれど。
通常「酸素濃度が低くなるとろうそくの火が消える」ところについて,「通常の空気では酸素濃度が21%であったのに,ろうそくの火が消えたあとの空気を調べると酸素濃度が17%程度になった」と学習するもの。
実際に標準状態であれば,ろうそくの火が燃え続けるためには12~17%程度の酸素が必要である。
入試問題では,これを「酸素が無くなった」という解答を求めている出題が散見される。
県東部の複数の学校で出題されているものである。
中には「ろうそくの火が消えたあとの空気に多く含まれる気体を2つ答えよ」の模範解答が「窒素・二酸化炭素」とされているものもある。
実際には「酸素濃度は低くなったが,二酸化炭素濃度よりはまだ十分に高い」ため,多く含まれる気体は「窒素・酸素」である。
なんと正しい解答が誤答となる。
こうなると出題レベルに言及せざるを得ない状態になるし,テストの結果はまさに「採点基準次第」である。
他にも「どうかな」と思う模範解答はちょくちょくある。
私自身も自分が作成したときには「どうかな」と思ってしまう出題をしてしまうことがある。
だからこそ,作成チェックの人には厳密にチェックしてほしいし,読み取り方によって答えが割れるような出題は避けたほうが良い。
子どもたちよりも,出題者側にこそ厳しさを求めたい。
(もちろん,子どもに厳しくしろという意ではなく,大人側が大人側で相互を律してほしいという意。)
『科学』を扱う分野だからこそ余計にそう感じる。
今回の記事,ネガキャンが意図ではないので誤解しないでほしいのだけれど,具体的に書いているためネガキャンと取られても仕方がないかもしれないなぁ。
テストは人が作るものだから,どんなに注意してもミスがあるときにはあるもの。
が,そのためのチェック機構として,大人同士の忖度にとらわれずきちんとチェックしていただきたいものだ。
(こういうの,チェックして指摘した人の社内評価が下がったりするんですよねぇ。まぁ出題よりもスムーズに仕事を運ぶほうが重視されるとそうなるかなぁ。)
テスト全体としては総合問題としてとてもよくできているだけに,こういった細かいところまで私は気になってしまうのかもしれない。
扱う題材として適切であるからこそ,授業で使うので。