読書習慣がだいぶ崩れておる。
銃・病原菌・鉄(上)
副題は『一万三〇〇〇〇年にわたる人類史の謎』。
著者はジャレド・ダイアモンド氏。
訳者は倉骨彰氏。
今年の3月ごろSNSで紹介されているのを見かけ,気になって購入したもの。
タイトルが秀逸でセンスがあるなぁと思う。
内容は副題のとおり,人類史に関する学術的な内容。
もくじを見ると本のノリが分かるかもしれない。
以下は上巻のもくじ。
第1部:勝者と敗者をめぐる謎
第1章:一万三〇〇〇年前のスタートライン
第2章:平和の民と戦う民の分かれ道
第3章:スペイン人とインカ帝国の激突
第2部:食料生産にまつわる謎
第4章:食料生産と征服戦争
第5章:持てるものと持たざるものの歴史
第6章:農耕を始めた人と始めなかった人
第7章:毒のないアーモンドのつくり方
第8章:リンゴのせいか,インディアンのせいか
第9章:なぜシマウマは家畜にならなかったのか
第10章:大地の広がる方向と住民の運命
第3部:銃・病原菌・鉄の謎
第11章:家畜がくれた死の贈り物
たとえば「なぜシマウマは家畜にならなかったのか」の章は,この問いに対する回答が主旨ではない。
家畜になった動物と家畜にならなかった動物,家畜にできた動物と家畜にできなかった動物,動物の家畜化の歴史等について述べられている。
遺跡から見つかった骨や生活跡,その科学的な分析結果,そして考察,さまざまな研究者の意見をふまえ,視野を広くとって述べられており,タイヘン面白い内容である。
上巻では食料生産の話題が多いため,ユーラシア大陸の『肥沃三日月地帯』という語がこれでもかというほど連呼されているが,おかげさまで食料生産の歴史についてはさまざまな角度から学ぶことができた。
個人的には中南米のインカ文明・アステカ文明に関する内容もあり,その話題も面白かった。
現在の世界をとりまく状況について,新たな角度から見られるようになること間違いなしの本ではあるが,前提として,(薄くてもよいが)世界地理・世界史の知識が幅広く必要になるため,小学生にはその前提をクリアするのが難しいだろう。
関心の強い子であれば楽しんで読めるかもしれない。
ともあれ,良書である。