忙しくなると逃避行動に出てすぐに読んでしまう。
「漢字ハカセ、研究者になる」
(「ハカセ」が漢字でないのは,「博士号」でなく子ども同士のニックネームや称号といった意の「博士」だからだろうか。または「博士」だと読みが一定せず語感が人により異なるからかなぁ?子どもへの配慮?私も僭越ながら文章を書くので,書き手視点でものを見てしまうところがある。)
以前も書いたけれど,著者は笹原宏之先生。
内容をざっくり述べると「自伝」といったところ。
以下,私の主観の入った記述になるので,実際に読む方は先入観なく読むためにも読み飛ばしたほうが良いかもしれません。
(もし先生がブログを読まれたら,このような稚拙な文章を読んでストレスに苛まれるのでは…と思いつつ,まぁいつものカンジで書こうかな。)
人生訓になるものが多かったなー…とだらだら書いていたら長くなったので,私の中でのテキトーな箇条書きまとめを。
・笹原先生の生き方がとてもカッコイイ
・子ども向けだけれど,「位相」や「客体」といった難しい語彙もふんだんに使われている
・自身の置かれた環境をどのように受け入れるか,選択するか
・小さなきっかけをもとに行動を広げる
・精神的プレッシャーを経験することで,他者が似たような状況になったりすることに気付き,思いやりにつながる
・自身と視座の近い人が集まる環境,自身に刺激を与えてくれる環境に身を置く
・人との関わりで失敗することから学び,未来へ活かす
・関係のありそうなこと,将来何かの役に立つことは,分野をまたいで学ぶ
・漢字は絶対的なものではない。使うのはあくまで人間,そして社会であり,変容してゆくもの
ふだんは単に文字だけを読むのだけれど,先月講演会を拝聴させていただいたこともあり,読むときに先生の声で脳内再生されるという贅沢な読み方をしてしまった。
参考資料の写真に,私が大学生時代に扱っていた金属「ニオブ」があり,ちょっと嬉しくなってしまったり…。
さて,内容については,いかに「漢字」へ関心を持ち,研究の対象としてきたか…といったもの。
「漢字」に関する雑学にも面白いものがたくさん紹介されていたが,それはここで述べるのは控えておく。
何より「いかに研究者になったか」という内容や,「自身の置かれた環境をどのように受け入れるか」といった,人生訓になる内容が多かった。
「研究」というと偏屈にもくもくとやるイメージがあるかもしれないし,そういった時間が長いことも多い。
が,研究には「対話が大切」「リアクションが大切」といった内容もあり,ここからは「自身と視座の近い人が集まる環境」「自身に刺激を与えてくれる環境」に身を置くことの大切さがうかがえる。
他者の一言で「ハッ」となったり,自身の内からは出てこなかったであろう概念,そういったものを受け容れる柔軟さも伝わってきた。
また,「人との関わりにも失敗があるからこそ次に活かせる」といった旨もあり,今の私の指導方法と重なるなぁと感じるなど。
先生の本では「漢字を使うのはあくまで人間,そして社会であり,漢字も変容してゆくもの」といった旨が書かれていた。
これについても私も似たような立場だ。
漢字などの文字は,現実的には「正しい」だとか「誤り」だとかよりも,「伝わるか」「場面に適しているか」等がいちばん求められるものだと考えている。
が,私は塾講師であるので,「この通りに書かなければ不正解」といった場面もよく見る。
これは,ペーパーテストの入試では,採点基準を作るのも,採点するのも「人」だからだ。
すなわち「なるべく×の理由となる表現を控えることを日常的にすべき」ということ。
このあたりはナンセンスだなぁと思うところもあるものの,現状のシステムを考えればやむなしといったところ。
(事前にある程度基準が明示されておればよいのだけれど,アナログなものだから現実的ではないだろう。)
…と書いていたらどんどん冗長になってしまったので,このあたりでしめておこう。
ぜひ親子で読んでほしい本のひとつである。