【国語】広大附属福山中の国語の出題2022

Posted on 2022年7月1日【国語】広大附属福山中の国語の出題2022 はコメントを受け付けていません

当分サボっていたシリーズである。「読んだ本」的な。

広大附属福山中の国語

著作権の関係で,入試問題集を購入しても問題を確認できないもの。

「ともや塾」にそろえられている本を紹介。

今回は2022年度入試に出題されたもの。

はじめて学ぶ環境倫理

著者は吉永明弘さん。

発行は2021年12月10日となっている。

入試日が2022年2月2日であることから考えると,発行日から2か月ほどで入試に出題されたことになる。

出題されたのはP.124-144。

挿絵や写真が2ページ分ほどあるが,それを除いておよそ18.5ページほどの分量。

この年は久しぶりに大問は1つのみであったが,その1つの分量がなかなか長い。

「長さによらず,要旨を読み取る」「筆者の主張を読み取る」「設問者の意図を読み取る」,これらがそつなくできればいつも通りの難度であった。

公式ホームページのデータによれば,合格者平均点が33.5/40であるから,8割を超えている。

さて,本の内容については,タイトルの通り「環境倫理」に関わる書籍である。

そもそも「倫理」という言葉,辞書的に調べただけでは理解するには足りないし,付け焼き刃の勉強でなんとかなる語ではない。

高校社会の科目名のひとつにはなっているものの,小学生が自身の内から使う機会などなかなか見かける語ではない。

学校の勉強,塾の勉強,日常生活,ふだんの遊び,広く好奇心をもって学んでいなければ,小学生視点ではすんなり内容が入ってくる語ではなさそうである。

今回出題された部分は「環境とは何か」についてとても詳細に説明がなされている部分であった。

「エコ」だの「SDGs」だの「環境にやさしい」だの,内容について考えず字面だけにとらわれてしまいがちな子にとっては難しく,逆に字面にとらわれず内容を読み取る子,新しいことをスポンジのように吸収する子にとっては読みやすい文章であったと思う。

私自身が全編読んだ感想としては,「専門家の方が,初学者に対してかなり寄り添って書いた文章で,とても読みやすい」である。

単なる主張ではなく,客観的な視点から書かれていたり,抜かりなく書かれていたり,読者が疑問に感じるであろうことを完全に埋めるようなかたちで書かれていることに感心するばかりであった。

単に「入試に出題されたから」「環境は大事だから」という理由にとどまらず,「日常生活」「生きてゆく社会」について新たな知見が得られる良書で,「多くの人に読んでほしい」と心から思える本であった。

余談だが,「『能率』と『効率』の違い」などのこぼれ話もタイヘン興味深かった。