【本】学力喪失

ようやく読書の時間がとれまして。

学力喪失

副題は『認知科学による回復への道筋』。

著者は今井むつみ女史。

言語学者で,以前『言語の本質』という書籍を弊ブログで紹介させていただいたことがある。

タイトルだけを読み取って誤認する人が出そうなのではじめに述べておくが,このタイトルは『最近の若いもんは学力が低い』という意ではない。

・『子どもたちが文章をどのように読み取っているのか』を実際に子どもたちの答案から読み取っていく。

・どのようなつまずきが発生しているのかを紹介していく。

・子どもに対してどのように学習環境を整えてゆくか。

これらが述べられており,先述の書籍同様『記号接地』に帰着していたのが面白かった。

特に数の感覚についても,それぞれ特定の数が数直線上のどのあたりになるかを答える問題での,子どもたちの解答例などはタイヘン参考になるものだった。

また,ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』の話の中心となるシステム1,システム2についても言及されており,こんなところでも出てくるのかーとニッコリするなど。

(『ファスト&スロー』。未読の人にはぜひオススメしたい書籍だけれど,高校生・大学生にならないと読むのキツイかもなぁ。)

当たり前のことだけれど『学力』という語と『成績』という語の違いは明確に区別して使われているため,その区別すらない読者層などには,書かれている内容が難解かもしれない。

(難しい区別ではないのだけど,区別のつかない人をたびたび見かける。なぜ……。)

余談だが,データ収集や実践については,広島県教育委員会,広島県福山市の事例がたくさんあり,親近感を覚えるなど。

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Posted by ともや