中村桂子さん,推されていますね。
公式情報による例年との違い
・追検査アリ
公式HPに案内があるが,コロナ禍に配慮して『追検査』が初めて導入された。
『大学入試共通テスト』を意識されているのか,同じような制度である。
全国区ではない,地方の中学入試としては珍しい配慮である。
さすが県東部のトップ校だなぁと思う。
どうでも良いことだが,今年は駐車場について,『8:00以降にしか入場できません』と公式HPにて明言されていた。
例年,早く来ては『開けて』と頼む人が居たりするからだろう……。
算数の問題
毎年,浜田塾様にて,浜田先生がご自身で打ち直したものをwebにupされている。
今年も当日にはupされていた。
当該サイトの入試問題集の項にて。
(掲載許可済。)
!注意!
当該サイトにも書かれている通り,『塾で過去問模試を受ける予定の方は,ここであらかじめ問題を見ないでください。合格可能性が正しく判定できなくなり,受験指導に影響します。』。
受験指導のときに使える実際の問題は数が限られているため,なんでもない時期にやるのは,学習機会の大きな損失になる。
行う場合はプロの指示を仰いだ方が良い。
世間では模擬問題集などが販売されているが,模擬問題集の作成者は塾講師であり,学校の入試作成者ではない。
ゆえに出題意図等が大きく異なるため,あくまで模擬問題集であり入試問題ではない。
雑感
・国語
昨年は1問だったが,ここ数年は多い2問のパターンだった。
文章自体は読みやすいものだったはず。
設問の難度に大きな変化は見られないが,昨今よくある『文章には書いてある表現だが,下線部の文脈,設問の意図,選択肢,これらの内容がかみ合っているのはどれ?』という設問が多かった。
例年通り,大局的な読み取りができない子はここで大きく差がついて取り返せない国語である。
漢字は易しかったので,差がつくものではないだろう。
インターネット上では『摂取』という誤字を多く見かけるが,『摂』は小学学習漢字ではないため,小学生だからこそ混同することはほとんどないといえる。
文章中から書き抜きを探す問題が2問あったが,読解スピードや『どのあたりにどのような内容が書いてあったか』といったことを読み取りながら解いているかで差がつく出題だったかもしれない。
余談だが,中村桂子さんの名前を見た瞬間,『珍しく同じ著者からの出題!』と思ってしまった。
同じ著者が出題されるのは,20年近く前の根本正之さん以来かな?(違っていたらスミマセン。)
・算数
算数好きなら楽しい出題だったと思う。(少なくとも私は……。)
今まで『地域のトップ校として易しすぎんか?』と感じていたものが,だいたいそれらしい難度になってきたんだと実感する。
さて。『データの分析』,出ましたね。
ともや塾生なら,毎授業『おさらい』の点数の確認で『最頻値』『中央値』『平均値』の話題が出ていたこともあり,すんなりできただろう。
小学学習単元になったため,『そのうち出るやろなぁ……』といった思いもあり,毎回くどく扱っておいて良かった。
全体として,ここ数年の算数の傾向から変化はない。
具体的には,1枚目を0~1ミス程度,2枚目はよくばらず解けるはずの問題を確実に正解させることを優先し,時間との兼ね合いで難度の高い問題を攻めるかどうかといったところ。
2枚目は,いずれも最後まで解き切るには『小手先の算数』では通じず,『解き方を編み出す』といった『問題解決力』が必要な出題だった。
もちろん,今まで学習した様々な解法を身に付けていればこそにはなると思うけれど。
他の問題との兼ね合いもあるから限られた時間の中でやるのは子どもたちには難しいだろう。
求められているものとして必須になるのは,まずは『計算スピード』。
これは単純な筆算等のスピードもさることながら,機械的にやらずに済むものをどれくらいふだんから工夫しながら暗算しているかも重要になる。
具体的には『仮平均』など,『別に仮平均なんて使わなくても解けるし』とおざなりにしていた子ときちんと身に付けていた子とで『時短』『計算精度』で大きく差がついたであろうことが予想される。
繰り返しになるが,使える時間は他の設問との兼ね合いになるから,あらゆる時間短縮を身に付けたいし,事前に真摯に取り組んでおくことが肝要だ。
ふだんの学習で,『答えさえ合っていれば良い』といった幼稚な学習をしておれば目も当てられない結果になったことだろう。
次に『基本事項の本質的な理解』。
今回は『割り算』が自分のものになっていないとキツイだろうなぁという出題があった。
そのほか『数の性質』だとか『等差数列の和』だとか『場合の数』だとかが自分のものになっておれば,スムーズにいける部分はいくつかあったが,子どもたちにはこれがなかなか難しいんだろうなぁ。
まさに『大人にとって都合のいい子』になっているだけではどうにもならない出題。
参考までに。
公式発表によれば,過去6年間の算数において,合格者最高点が満点だったのは3年間のみ。
今年の出題は私も解き切るのに25分程度かかった。
『処理速度(知能検査済)』の数値が高い私でこれくらいかかるのだから,そうでない子にとっては満点はほぼ望めないだろうと思う。
(タブレットを忘れるという痛恨のミスをしてスマホで見ながらになったので,もうちょっと万全な状態で計測したかったなぁと悔やまれる……。)
・理科
全体的な難度は例年通りだが,ブラックボックスの仕組みが分かっていない子が総崩れしてしまう出題のように見えた。
やはり苦手を苦手のまま避けているようではならない,自身の苦手と向き合った者が安定するのだという戒めになる出題である。
『すべて選べ』や『記述』が増えており,例年より満点は少なそう。
過去の出題と同じ出題が数問あり,この学校の対策をしているかどうかも効いてくるところだろう。
絵を選ぶ出題は,これも例年よくある『単なる語句だけでなく,教科書の絵や写真がちゃんと染みついてる?』といったものが今年もあった。
・社会
選択肢の内容が明らかに細かくなった。
『身に付いておれば易しい』といったものが多いのは例年通りだったが,判断に困るもの,どのような学習の仕方をしておけば良かったのかが難しい……といったものがいくつか見受けられた。
選択肢の出題の場合,難問であれば『理解した上で解ける子が少ない出題』は『実力というより運のいい子が取れる』となってしまうため,難問を選択肢にするのはどうかなぁと,個人的には考えている。
こちらも例年より満点は少ないだろう。
・理社
昨年とはうってかわって,理科では『すべて選べ』の精査,社会では選択肢の内容の精査に時間を取られそうな出題だった。
易しい問題を文字通り『秒で』解き,精査すべき問題を精査する時間をとらなければ,時間がギリギリになってしまうのだろうなぁと,そんな感触の理社だった。
こちらも算数同様,処理速度の高低で差がつきそう。
・総合
国語は昨年・一昨年よりは合格者平均点が上がり,理社は下がり,算数は予想つかず(たぶん昨年と同じくらいかな?),4科目の合計は結局例年通りになるのではないかという予想。
算数の1枚目の出題で計算ミスの要素が多いかなぁとは思うものの,そういう子は合格者平均点の算出に含まれない側になってしまうことも考えられ,『あくまで全体平均点ではなく合格者平均点なのだよな……』と参照するデータに含まれるかという観点に立って考えたりなど。
昨年私の予想では『理社はほぼ満点であることを前提とし』と分析していて,後日掲載された公式の合格者平均点は『28/30』を超えて9割以上だったので,まぁ分析通りだった。
これも繰り返しになるが,得意があれば受かるのではなく,苦手と向き合うことを続けた者が受かるテストである。
まさに長期的な学習に対する粘り強さ,そして当日の取り組みに対する粘り強さ。
とはいえ,出題がそうであっても,実際のその年の受検者の動向で結果は変わるので,オッサンのひとりごと程度である。
やっぱり今年も分析してしまうんですよねぇ。
好きなんだろうなぁ。
余談だが,入試当日はドタバタしておりだいたいお昼ごはんを食べ忘れ,暗くなってから『そういえばお昼食べていないな……』と気付くなどし,オッサンの食生活が危ぶまれる。