「得意」とは何だろうか?
「好きなこと」=「得意なこと」と信じている人は多い。
だけれど,本当にそうだろうか?
私の好きな岩田聡氏の言葉に,以下のようなものがある。
「自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり、喜んでくれたりすることが得意なことだ」
「自分としては努力して達成感があるのに、周りからの評価が芳しくないことは、自分は好きだったとしても実は不得意なことかもしれない」
この2つの言葉は今でも私の考え方に影響を与えている。
「好きなこと」と「得意なこと」は一致している場合もあれば,そうでないこともあるのだ。
しかし,「好きなこと」をやりきったときに「達成感」が出てしまい,「得意なこと」だと妄信しやすい罠が潜んでいる。
改めて,私にとって「得意なこと」とは「他の人が苦労してやっていることが,自分にはすんなりできてしまうこと」だと思っている。
これは「好きなことだから時間を忘れてできる」といったことだけではなく,むしろ「ただただ短時間で,短い工程でできる」といったことのほうがより得意なことなのではないかと思う。
例えば,「料理」について「得意」と「好き」を考えてみよう。
普段から特に何も考えずとも,冷蔵庫を見て「何を作るか」を即断し,そつなく短時間で料理を作れたとしよう。
これは「料理が得意」といって良いと思う。
それに対して,「今日の献立は何にしようか」という悩み自体を時間をかけて楽しみ,料理を作る過程においても,時間をかけてでも自分のこだわりを出したりするとしよう。
こういった姿は「料理が好き」という姿だと思う。
もちろん,「得意」だから「好き」になったということもあるだろうし,「好き」だから「得意」になったということもあるだろう。
上記の例にしても,どちらの状況も共存することや,日によってどちら寄りの状態になるかが変わることもあろう。
だが,「好きなこと」と「得意なこと」は同じとは限らないということは,常に頭に入れておくべきだ。