同じことを何度も繰り返して学習することに意味はあるのだろうか?
脳は記憶したことは大概覚えているのだが,取り出せなくなってしまうことが多く,その状態が「忘れた」という状態だという。
子どもたちもそうだが,大人になった私たちですら,同じことを何度も学習することに退屈を覚え,それよりも新しい情報を求めることがよくある。
しかし,繰り返し学習は大切であるし,そのタイミングはもっと大切だ。
なぜだろうか?
忘却曲線
「忘却曲線」をご存じだろうか?
情報のあふれる今ならば,関連する情報はたくさん見つかることだろう。
「エビングハウスの忘却曲線」などが話題になったのも記憶に新しい。
しかし,間違った日本語訳や解説もよく見かける。
今回紹介したいのは,「ウォータールー大学」の論文だ。
私は英語圏で生活したことがないから,英語で書かれたものをムリヤリ日本語で解釈することしかできない。
だから,元の文献を読んでみられるのも良いかもしれない。
さて,この文献では,
「どのくらいの期間が空くと,どのくらいの学習内容を失うのか?」
「どのタイミングで再学習すべきなのか?」
「再学習するときにどのくらい時間がかかるのか?」
…が述べられている。
「どのくらいの期間が空くと,どのくらいの学習内容を失うのか?」
何も復習しなかった場合,翌日に50~80%の内容を失う。
30日後には,2~3%しか保持していない状態になるという。
これに対し,「繰り返し学習」を行うとどうなるのか?
脳自身が「あ,またこの情報か。覚えていたほうがいいな。」と認識し,記憶を呼び覚ますのに要する時間が少なくなっていく。
「どのタイミングで再学習すべきなのか?」「再学習するときにどのくらい時間がかかるのか?」
60分の講義内容に対して,
1回目: 24時間以内に,10分。
2回目: 1週間後に,5分。
3回目: 1か月後に,2~4分。
…この3回で,長期記憶にはずいぶん効果があるようだ。
繰り返し学習をするたびに,学習に必要な時間が劇的に少なくなっていることが分かるだろう。
もちろん「今後一切使わないだろう知識」などを一夜漬けで暗記し,翌日に披露したらもういらない…こういった短期記憶で構わないならば,ここまでする必要はない。
しかし,入試のように範囲があまりに広い試験などに臨むため,または将来的に知識としてずっと保持しておきたい場合には,この論文を思い出し,効果的に復習していきたいものだ。
もちろんすべての学習に対して1か月をかけて復習するのは予定管理が難しいかもしれないが,頻出内容などについては,これくらい管理しながら学習してもしすぎることはないだろう。