…というテーマが,某SNSで話題になっていた。
無意識
ほとんどの方が「無意識」に計算しているのではないかと考えている。
あるいは「全て筆算!」と決めている方もいるかもしれない。
で,この自分の「無意識」について正しく認識できていないと,「どのように計算するか?」を考えても,正しく述べることもできない。
「暗記している!」という回答も多く見られたが,そもそも「無意識に計算しているのを『暗記している!』ように感じている」だけかもしれない。
アンケートの結果というものは,科学的に測定しているものではなく,常に「回答者がアンケートに回答しているときに,自分の思考をどう認識しているか」により,事実と異なる回答をしている可能性があるため,鵜呑みにするわけにもいかない。
講師ともやの場合は…
おそらく…
7+3+3=13
…と計算しているハズ。
だけど,しょっちゅう出会うがゆえに,「暗記している」ともいえる。
計算していると仮定するならば,「『10に近い数にいくつ足せば10になるか』を基準にして分解して計算する」という計算だ。
1ケタだと自分の計算手法を認識するのは難しいが,2ケタ,3ケタになると容易に想像がつく。
例えば,
87+65
これは,
87+13+52
と組み替えて計算するときもあれば,
150+2
のように,一の位から十の位への繰り上げを事前に察知し,繰り上げ後の十の位のみを先に計算しているときもある。
ここから,自分は「キリの良い数」を作りながら計算しているときと,繰り上げを察知して上の位から計算しているときがあることが分かる。
267+425はどうか。
これは,
600+90+2
と計算していることがほとんど。
これにより,「キリの良い数」が見つけやすいか否かでも計算手法を変えていることがわかる。
つまり,「決まった手順で計算しているわけではなく,常に『単純化する方法』を探しつつ,基本的には上の位から順に,下の位からの繰り上げを確認しながら計算している」ことになる。
筆算したほうが速い?
この手の話題になると,たまに「筆算したほうが速い」とおっしゃる方もいらっしゃる。
確かに複雑な計算の場合など,筆算したほうがやりやすい場合もある。
が,このケタ数のたし算の場合,「その方の暗算が遅い」だけであるだろう…。
たとえば,先述の「6+7」など,筆算しちゃう人のほうが遅いのは明らかなわけで…。
267+425=692についても,このようにクドクド説明する場面でなければ,5秒程度で終わるもの。
筆算は,あくまでも「暗算のほうがメンドウになりそうなときの保険」「指導者側から見て,ミスを指摘しやすくするための,教育課程上必要なもの」程度になるだろう。
「暗算」のようなスキルは,それ単体の能力を数値で測る場面はあまりないから,おざなりにされがちである。
が,学力をつけてゆく上で,最も基本的なスキルのうちのひとつである。
低学年時など,受験勉強をする前の段階で身に付けておきたいスキルは,こういったスキルであろう。
この他にも,「やりぬく力」「セルフコントロール」「メタ認知」など,数値では測れない非認知的スキルはたくさんあるし,多くの方もそれには気づいていることだろう。
数値で測れる能力のほうが分かりやすさがあるために話題にのせやすいが,抽象的にしか表すことのできない能力も含め,個人個人へ教育を施してゆきたいものだ。