しもべではない。
「僕がコントや演劇のために考えていること」
著者はラーメンズの小林賢太郎氏。
(元ラーメンズとしたほうが良いかしら…。)
劇作家やパフォーマーとして大好きな人物である。
今年の,とあるできごとをきっかけに「彼の本質・源泉についてより深く知りたい」と思った時期に購入したもの。
優先度の関係でなかなか読み始めなかったものの,この日曜日に息抜きがてら読み始めたところ,とても読みやすくてすぐ読み終えてしまった。
彼のコントとしていちばん有名なのは「千葉!滋賀!佐賀!」というフレーズが人気の「日本語学校イタリアン」であろう。
これは視聴者の能力を問わず大衆受けの笑いが取れるコントとしてTVでも実演されたもの。
が,多くの演劇を観る中で,彼のコント,演劇,パフォーマンスについて,「視聴者の洞察力によりどこに面白さを感じるかが異なるな」と感じることが多々あり,「洞察力を測るのに最適では?」と考えている。
これは私が小学生を対象とした教育サービス業を営んでいるからこのような観点で見てしまうのだと思うのだけれど…。
今まで何気なく笑っていた,落語なりラーメンズの演劇なり。
これらは耳で聴いた情報を整理し,今まで身に付けた教養とうまく結びつけるということが求められるのだなぁと最近は感じている。
いま,動画や画像であらゆるものをダイレクトに分かりやすく見ることができるようになった反面,目の前にないものをイメージする,想像力に大きく差が開くような風潮になってきていると考えている。
何かと「分かりやすさ」がプッシュされる世の中であるけれど,学習するのには「分かりにくさ」が大切であるといった研究結果も見られるため,教育としては場面によって何を優先すべきかを適切に選択してゆかねばならない。
さて,内容であるが,タイトル通り「考えていること」「実践していること」が1ページずつ項目別に書かれている本だった。
彼自身の考え方を知ることができたのも良かったけれど,「人と同じことをする」よりも「自分で考えて行動する」タイプの方だったので,とても共感できる内容が多く,私が自身をブラッシュアップするのにタイヘン役立つ内容がたくさんあった。
また違った視点で読みたいなと思える本だった。
オマケ
(これも洞察力により笑う要因に差が出るネタかなぁ…?)
本筋ではないのでこの話題は最後にしたけれど…。
彼はオリンピックのショーディレクターを解任された件で話題になった。
過去のいじめなどで批判を浴びた人物と同一視されてしまったのは非常に不運だったと思う。
オリンピック開催直前までの,「叩けるネタを探し出してなんでも叩け!」といった風潮の中,大昔の,現在の方向性とは全く異なるネタが掘り返されたこと,これは私にとってザンネンなオリンピックだったなと感じるに十分なできごとであった。
これが2003年,2007年に述べられた話である。