100年前の本……。
東洋の理想
著者は岡倉天心。
江戸時代生まれ,大正時代没。
おもに明治時代を生きた人物である。
原題は『The Ideals of the East-with special reference to the art of Japan』。
これもどこで見かけたのか,一度読んでおきたいなと思わせる機会に恵まれたので読むなど。
内容は日本文化や芸術の歴史について,原始日本から時代を追って読むもの。
100年前の文献ということもあって私がふだん使わない語彙がふんだんに用いられており,読みづらいなぁと思いながら,まぁ新しい語彙を学ぶ良い機会だなとも捉えながら読むもの。
『足利時代』『豊臣および初期徳川時代』の項などは,
かくして,この時代の中心人物は,もっとも卑賤な身分から身を起こし,西暦一五八六年にわが国最高の顕職に上った人,秀吉である。
(略)
そして自然,かれらの無教養な心にとっては,足利貴族たちの荘厳厳格な洗練は,これを理解できないがゆえに,趣味に合わぬものであった。
(略)
これすら,かれらに対しては,真の風雅などというものよりは,むしろ,かれらの富を誇示する満足を意味したのであった。
(『東洋の理想』)
歯に衣着せぬ書かれ方をされていてとても読みやすかった。
私は芸術への造詣は全くといっていいほど無い人間であるが,日本芸術の変遷,現代に生きる日本芸術について学ぶ良い機会になった。
関連記事