人類の叡智の結晶。
叡智学園
大崎上島にある,全寮制の中高一貫校である。
(地理院地図より作成)
↑の通り,内地()からは完全に隔絶されており,非日常感を味わうには絶好の場所である。
さて,開校5年目となり現在中1~高2の5学年が通っていることになる。
説明的な内容と私の主観的な視点が入った内容とを分けてご紹介しようと思う。
今回はなるべく説明的な内容に終始するつもりであるが,私の意思がある程度介入した表現になることはご容赦いただきたい。
説明的な内容
※口頭による説明も記述するため,間違いのある可能性もあります。
※2023年7月時点の情報です。
※削除・修正すべき情報があった場合,削除・修正等行うことがあります。
※情報ソースは公式ホームページでご確認ください。
・人数
現在総数は中学生119名,高校生95名。
中学定員は各学年男子20名+女子20名=40名。
『ユニット』とよばれるコテージは本当に人数分しか存在しないため,定員をオーバーすることは現状物理的に無い。
高校の受け入れは海外からのみ。
・内部生の内訳
現在中学生が119名となっているが,例年辞める子は0-1名程度。
広島県内からの入学者が40%程度,その他は広島県外。
北海道や沖縄から入学した子も存在。
(どこの都道府県から来たか嬉しそうに話されていたので,都道府県コンプリートは教員の楽しみのひとつになっていそう。)
高校生について,海外からの入学者は現在約半数が帰国子女。
・ユニット
上述の通り募集人員ぴったりしか無い。
個室,半個室,2人部屋から構成される定員10名の建物で共同生活を行う。
10名の構成は中学1~3年または高校1~2年(今後高校1~3年になる?)の混成。
部屋は選べない。
半年に1回ユニット替えがある。
家族から荷物が届くことがあるが,中身は本人に開封させて教員等が確認する。
・学業
全員IB(国際バカロレア)のカリキュラム。
これは公立学校としては全国初。
もし高校から別の学校へ進学したい場合,高校受験の勉強はユニット生活をしつつ自力でやることになる。
中1から志望校調査を行う→中3段階でIBの科目選択があるため,早めに意識。
基本的にIB入試の実施大学を受験することになる。
現在まだ受験学年になっていないため実績は無いが,オックスフォード大学や東京大学を志望している学生が居る。
・入試
雑談の中で何度も仰っていたが,『ミスマッチを防ぎたい』とのこと。
これは学力の優劣をオブラートに包んだわけではなく,言葉通りの『ミスマッチを防ぐ』だと私は考える。
これは学校である以前に『橋のかかっていない隔絶した島で,自立した共同生活を行う』という特殊な環境であり,また通常の中高カリキュラムではなく『IB』であることから容易に分かる。
『バランス』『協働』といったワードを強調しておられたのも印象的だった。
ミスマッチが起きた場合,学校側というより子ども本人が不幸になるため,これはいちばん避けたいという意志が伝わってくるもの。
教育業の現場の人間としては,関係した子どもたちには全員に幸せになってほしいのは当然である。
たとえば私などは個人で活動するほうが好きなので,いくら学校のカリキュラムが合っていても協働となると生活面がミスマッチということになる。
このほか,後述する生活面で自立・自律があまりに不足している場合もミスマッチとなるだろう。
適性検査についての話題も出たが,もちろん事前に形式は発表されない。
過去問については公式ホームページに公開されているのでそちらを閲覧したほうが分かりやすいだろう。
・生活
職員は52名とのこと。
先述のとおりユニットでの共同生活を行う。
ユニットリーダー等は存在しているが,掃除や洗濯も自分たちで行う。
同じ中学生同士,同じ高校生同士で生活できることが大前提である。
島内には施設が揃っておらず,たとえば整形外科が無い。
複雑骨折が起きたりすると救急車→救急艇と乗り継いで病院に行くことも。
まだ利用は無いが,ドクターヘリも来られるようにしているとのこと。
橋が無いため外部との接触は基本的に船で,濃霧などで欠航になることも少なくないそう。
たとえば職員の約半数が船による通勤だが,物理的に来られないことがあったりするため,授業の組み替えは日常茶飯事であり,『寛容な心』が求められるよう。
(『寛容な心を育んでくれる』と捉えることもできる。)
よくも悪くも『島の日常』というべきか。
余談だが,この説明会の日も竹原港発の船が8:00まで欠航しており,教頭先生をはじめ遅れて出勤した職員も居たよう。
余談
私『ウェアラブル端末の話はどうなっていますか?』
回答: あれはニュースになってしまっただけで,今は何の話も無いです。
次回は私から見た主観的な内容もご紹介する予定。
↓は4年前に現地へ赴いたときの記事。