広大附属福山中模試について思うこと

Posted on 2019年12月8日広大附属福山中模試について思うこと はコメントを受け付けていません

「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ」

さて,今日はちょっと頭にきたのでやや辛辣な内容を。

気分を害する方がいらっしゃるかもしれないので,読むならばコーヒーでも飲みながら落ち着いたところで読んでほしい。

個人的なことであれば書くべきだとは思わないが,地域の子どもの学力に関わることでもあるので,書いておかねばと思った次第だ。

なお,目的は批判ではなく,保護者や子どもに向けたアドバイスとなる。

地域の塾では,広大附属福山中に密着した模試を行うところがある。

私の塾でも行うが,受験するメリットはあるのだろうか?

科目について思うこと

4科目模試を実施しているところと,2科目(国語算数)模試を実施しているところがある。

広大附属福山中で出題内容が特徴的である科目は,どちらかというと理科社会のほうだ。

だから,2科目しか実施していない模試は似せる気が無いと言わざるを得ない。

「広大附属福山中」という名称で目を引く,すなわち単なる客寄せが目的であることは間違いないだろう。

合格判定について思うこと

母数さえそこそこ集まれば,受験した生徒の成績を並べ,「このあたりまでが80%,このあたりまでが60%,…」などと線引きすれば「合格判定らしきもの」は容易に作成できる。

だけど,「出題内容の似ていない模試」で判定を出したところで,「一般的な学力レベル」しか分からないことと思う。

大学入試と異なり,広大附属福山中入試はそこまで学力順どおりに合格が決まるわけでもないから,例え小学6年生の模試であっても,判定はそこまであてにならない。

「無料で成績判定がもらえる」程度に考え,あまり執着しないほうが良いだろう。

形式について思うこと

形式は,最近の出題傾向に似せられている場合が多い。

例えば,国語であればひたすら長い文章のあとに設問があるとか,算数であれば問題用紙が2枚で解答用紙が1枚だとか,理科社会であれば問題が2.5枚程度で解答が0.5枚程度であるとか,そういったところだ。

だけど,内容はどうだろう?

国語について思うこと

漢字が4~5題,そしてほとんどが4択問題で,随分似たものをつくるなぁと感心する

他塾の模試で気になることは1点だけだ。

最近の広大附属福山中の国語には,注釈が無い

注釈というのは,語句について「※」や「*」で文章の最後に補足説明をするもののことだ。

なぜ注釈が付いていないのかはっきり聞いたわけではないが,私はこう考えている。

「分からない語句があっても,前後の文脈から自分で意味を補完してほしい」または,「語句が分からなくても大意は分かれば問題ない」という考えがあるのではないか。

実際にどういった理由があるのかは分からない。

だけど,過去の問題を見て「※」や「*」といった補足説明をしないことが分かっているならば,それに準拠した問題を作るべきであると思う。

ちなみに直近で注釈が付いたのは2006年の問題で,そのころまでは注釈の付いた年も多かった。

最近では,文章の背景が難しいときに,文章の前に舞台の背景を説明する文が挿入されていたことがある。

算数について思うこと

広大附属福山中では,「算数の問題の書き方に抜かりが無い」のが特徴だ。

どういうことかというと,「問題文を正しく読めば,複数の解釈が生じない」ように書かれているし,「『きまり』にしたがって解く問題では,例からきまりを読み取るのではなく,きまり自体がしっかり書いてあり,簡単な例が補足で書いてある」ということだ。

そのきまりの中で規則性が見つかる問題もあるが,そもそも「きまり」は書いてあるものなのだ。

また,必要の無い物語性はなるべく省かれており,純粋に算数の力を試しているのも特徴だ。

例えば「図形の周りをまわる問題」では,せいぜい「コースの周り」と言ったりだとか,人物であれば「Aくん」だとか「兄」程度にとどめられる。

「xを使った式」などについても,「比例・反比例」の単元にとどまっているし,「数学ではなく算数で解いてほしい」という意識の表れではないかと感じている。

「分からない数=x」という意識は,数学に慣れ親しんでからと考えているのかもしれない。

(直近でxが登場したのは2012年の「比例・反比例」であるし,文字式の扱いには慎重であると感じる。)

図形のぬりつぶしに関して,印刷にムラが出るため,ぬりつぶすことは全く無い。

せいぜい「点々模様」か「斜線」がつけられており,その部分を指すときには問題文に「ななめの線をつけた図形」などと書かれる。

ここにも「印刷の濃淡で左右されないように」「『斜線』という語句が読めない・分からないといった算数以外の部分で左右されないように」といった配慮を感じる。

他塾の模試を見ていて感じるのは,問題数は似ているけれど内容はあまり似せておらず,中途半端であるということだ。

理科について思うこと

広大附属福山中では,理科は「物理」「化学」「生物」「地学」がバランスよく出題され,他塾の模試でもしっかりとそれを踏襲しているのが見受けられ,感心する

気になる点があるとすれば,「解答用紙は問題用紙の3枚目に付属すべき」ということだろうか。

本番に準拠するのであれば,内容もそうだがここには気を配りたいところだ。

また,算数同様「問題の書き方に抜かりが無い」ところに注目するならば,「天体などで時刻を扱うときには日時(または『この日』などの表現)を,月日を扱うときには具体的な年(または『この年』などの表現)を書くべき」ということくらいだろうか。

とはいえ,ホンモノの過去問でも,2007年の問題は「短かく」といった表現があったり,2009年の地層の問題は印刷の濃淡で答えが分かりづらい問題があったり,2010年の問題では「生き物」という解釈のわかれる表現があったり,「これはどうなの…?」という表現があったといえばあった。

しかし,逆にそれ以降は目立つ粗は見つからず,作成者側の腕が上がっているのがよくわかり,好感がもてる。

社会について思うこと

広大附属福山中では,「学校の教科書準拠」であり,「時事問題」を除けばだいたい教科書に載っているというのがいちばんの特徴だろう。

専門で指導しているならば,熟知していて当然のことだ。

だから,他塾の模試を見るとうんざりしてしまう。

以下は,とある模試の出題についてである。

学校の教科書内容は無視で,塾用教材での基本問題をベースに出題。

結果,教科書を逸脱した範囲をいくつか出題。

例えば,教科書には一切出て来ず,広大附属福山中で出題されたことも無い「享保の改革」「寛政の改革」「天保の改革」といった江戸の3大改革をドドーンと出題…。

「広大附属福山中に似せる」気があるのかな…と首をかしげるというよりも,何より「真剣に広大附属福山中を目指す子どもたちを混乱させるのはやめてほしい…」と心底頭にくる内容を見かけてしまった。

もし自塾に通っていない子どもたちを混乱させる目的であれば大成功といったところかもしれないが…。

他塾の模試について思うことまとめ

「似せた模試」を謳っておきながら内容が準拠で無いというのは,塾側にとって「単なる客寄せイベント」とみなしていることが透けて見えてしまうし,誇りを持って仕事をしないのかな…と疑問に感じる。

(報酬が見合ってなくてやる気が出ないとか,単に忙しくて本気で取り組めないだけなのかもしれないけれど…。)

補足として「形式は似せているけれど,内容は似せていない」とか「〇〇の科目は似せているけれど,〇〇の科目は似せていない」など,説明をされているのならばここまで私が書く必要は無い。

他塾のやることなので口出しするべきでは無いし,対立をしたいわけでもないが,受験を考えている周囲の子どもにも影響が出ることには,コメントせざるを得ない。

なぜなら,このような問題であれば,子どもにとってはむしろ「何を中心に勉強すべきか?」について混乱が生じるばかりだからである。

もし「受けたほうが良いですか?」と聞かれたら,「一般的な中学入試向けのテストとしては良いけれど,広大附属福山中にしぼっての学習であればデメリットもあるからどうかなぁ…。」と答えざるを得ない。

それでも成績や順位が出るのであれば,「自分の属する地域における,母数の大きなテスト」としてとらえれば,広大附属福山中というより「一般的な中学入試の学力」として自分の立ち位置を知るには良いかもしれない

私の塾では母数の多いテストは実施していないし,そういったテストの成績表などは大手のほうが圧倒的に参考になる

ただ,「広大附属福山中入試に向けて復習する」ということであれば,全く適した教材とは言えないし,ホンモノの過去問と併用した場合,実際に出題されるところとそうでないところの区別がしづらくなり,ぼやけるというデメリットもあるのでオススメはしない

複数の方と懇談する中で,「福山に塾が充足していると言っているが,行かせたい塾が無い…。」という意見もいただき,「うーん確かに…。資本力のある塾ならば,今マジメに力を入れれば福山の天下を取れるのでは…。」と感じることも…。

総まとめ

他塾の広大附属福山中模試については,小学6年生の夏休みくらいまでは過去問に取り組むには早いから,利用するのはアリだ。

だけど,「広大附属福山中ではこれが出るのか!」とのめりこまず,「この塾が似せて作ったらこういう問題になるのね」程度にしておいたほうが良い

「広大附属福山中を受験する子たちはどんな子たちだろうか」というのを肌で感じる機会になるが,同じ教室で受けるかどうかは塾次第だ。

だけど,成績表の出るテストであれば,「成績表目当てで受ける」のはアリだ。

ただし,合格判定はあまりあてにしないほうが良い

塾側は「合格判定が出る」という売りを作りたいだけで,「何か判定のようなものが出れば良いのに」という保護者の需要を満たしているにすぎない。

「復習すべきか?」は,そのときのテスト内容・科目に依る。

(相談していただければ,的確にアドバイスすることができる。)

あまり似せる気の無い場合もあるので注意

検索して来られている皆様が求められている情報として参考になれば幸いだ。

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