最近知り,9年前のニュース記事を眺めるなど。
山中教授「ジャマナカと呼ばれていた」
山中伸弥教授。
2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞された教授である。
(つい最近のことのイメージだったのに2012年とな……。)
僕もまだ48歳で、まだまだ偉そうにみんなに「人生はこういうものだ」とか偉そうなことを言うことができないんですけど。人生の48年間、特に後半の20年間くらいを振り返ってみると、本当にこの「万事塞翁が馬」だなと。本当に大変なこともあるし、うれしいこともある。
でも、大変だと思ったことが実はうれしいことの始まりだったり、ものすごくいいと思ったことがとんでもないことの始まりだったり。ということですから、一喜一憂せずに淡々と頑張るということを自分自身の研究の話をしながら、わかってもらえたらなと思います。
もう1つ今日伝えたいのが、皆さんもこれから大学生になり、社会人になりとしていくと思うのですが、ぜひ色んな事にトライ、色んな事をチャレンジしてもらいたい。そしていっぱい失敗をしてもらいたいと思っています。
10回挑戦して、9回失敗をして、1回やっと成功するくらいの感じで、これから色んなことが起こると思うから、9回失敗しないと1回の成功は手に入らない。私自身もそうでした。
研究者はみんなそうです。その2つ、「万事塞翁が馬」と、どんどん色んなことに挑戦してどんどん失敗してもらいたい。
昨今の風潮。
あまりに『失敗したくない』が先行し過ぎているように思う。
リカバリ不可能な,死につながるような致命的な失敗であればそれは避けるべきなのだけれども。
短期的に見て失敗であったとしても長期的に見て成長に繋がることであれば,失敗を恐れずどんどん試行錯誤したり挑戦したりすべきであろう。
それが『失敗するのは分かっているんだけど,1回やってみてどうなるのかずっと気になる』といったような,単に気持ちの整理の問題のものごとであっても失敗しておいたほうが良いこともある。
鬼のような教員、教官が僕を待ち構えていまして、ビシバシと鍛えてもらったんです。僕は山中という名前ですけど、その先生には「山中」と呼んでもらえませんでした。2年間のトレーニングでなんといわれていたかというと「ジャマナカ」と呼ばれていました。お前はほんま邪魔や、「ジャマナカ」め、と言われていました。
しかも残念ながら、整形外科は外科で手術をするのが主な仕事なんですけど、少しですけど手術をさせてもらうと、どうもうまいこといかない。他の人がやっていると簡単そうに見える手術が、僕がやるとなんかうまいこといかない。
うまい先生がやると20分くらいで終わる手術が、僕がやると2時間かかると。そうういこともあって、だんだん自分は整形外科としては向いていないんじゃないかと。高校の時からずっと整形外科医になりたくて、大学の間も僕は整形外科医になる為に医学部に入ったんだと、他の授業はサボっても整形外科の時間だけは1番前に行って聞いていたのに。
ようやく念願かなって整形外科のトレーニングを始めたんですけど、ちょっと大変な目にあうと、意気地がないといいますか、逃げたくなって。で、選んだ道が、臨床。患者さんを見るのは僕は向いていないかもしれない、一度研究をやってみようということで、大学院に入りなおしました。
ノーベル賞を受賞したあの山中教授でさえ,得手不得手があり,また場によってはヘタな側になってしまうことがある。
何事も適材適所。
自分の得意分野をメタ認知してゆくことが,自身の過ごしやすさ,ひいては社会貢献に繋がってゆくもの。
これはもちろん苦手なものは一切避けるべきだという意味ではない。
得意分野を知るためにも様々な分野に足を踏み込んでみたり,得意分野を見出したときに備えて学び方を学んだり教養を蓄えていったり。
また,好き嫌いと得手不得手はまた別問題で。
好きで得意,好きだけど苦手,嫌いだけど得意,嫌いだし苦手……感情の問題と,他者と比較したときにうまくやれるかの問題はまた別。
『大して苦労していないのに人より軽々とうまくやれるもの』を見出し,そしてその分野について精力を注ぎ努力して突き詰めてゆくこと。
これが大きな強みになる。
苦手なことについても,自分にはどの程度のことまでできるのか,どのようにして周囲の支援を得るか,そういったことを知っておくことが重要だろう。
同じ人物であっても,足を引っ張ることになる場もあれば,ヒーローになる場もあるのだ。