少し前に,「あり得ます」という文言を見かけまして…。
違和感
「あり得ます」という表現を読んで,ひどく違和感を覚えた。
なぜだろうか。
日常的に「あり得る」「あり得ない」という言葉は耳にするものだが,丁寧語で使用する場面を見かけることが無かったからかもしれない。
もし私が丁寧語で使用するならば,同じ意味の「場合がございます」などの表現を使用するだろう。
「~する場合がございます」「~ある場合がございます」といった表現ならよく目にするものだ。
実際には「あり得ます」と表現する場面もあるのだろうけれど,私があまり目にしないこと,同意の別の文言のほうをよく目にすること,…これらのことから違和感を覚えたのだろう。
「あり得る」の読み方
違和感を覚えたことからちょっと調べものをしていたところ,面白い考察を見かけた。
そもそも「あり得る」という表現は,文語だと「ありうる」,口語だと「ありえる」と読む場合が多いという。
私の経験をもとにすると,確かに読み物の場合は「ありうる」と読んでいたし,耳にするのは「ありえる」であった。
文語と口語で読みが変わるとは面白い言葉である。
では「あり得ない」ではどうか。
「ありうない」という読みはひどく違和感があるし,「正しい」とは言いづらい。
「ありえない」と読むのが正解だろう。
それでは冒頭の「あり得ます」はどうか。
これも「ありうます」ではおかしい。
やはり「ありえます」と読むべきだろう。
ムリヤリ「う」と読ませようとするならば「あり得ります」となってしまうが,これも違和感がある。
(この場合,「あり得ない」は「あり得らない」となるのだろうか…。)
違和感の正体
「あり得る」は文語では「ありうる」と読むもの。
「あり得る」を「ありえる」と読むのは,会話中などくだけた場面であることがほとんど。
これを「あり得ます」と書くと,読みが「ありえます」になってしまう。
会話ではあり得るのかなと感じるが,文言として書いてあったため,これが違和感となったのだろう。
ふだん日本語に違和感を感じることはちょくちょくある。
「明らかにおかしい表現」の場合もあれば,「ただ単に私が無知であっただけ」といった場合もよくある。
今回は詳しく調べてみることにより,よい勉強となった。