【国語】「とける」

Posted on 2020年4月6日【国語】「とける」 はコメントを受け付けていません

(画像は,大学生のころに友人の家で一夜過ごしたあとの自転車。)

雪どけ」について調べていて驚いた。

検索して出てくるもの

私は「雪どけ」の正しい用法は「雪融け」だと考えていた

が,とある教材で「雪解け」という表現を目にして,確認することにしたのだ。

日常生活ではどうでも良いことでも,詳しい違いを頭に入れておくことは,教養になる。

検索して出てきたのは…

新聞社の方が書かれていた,「雪は溶ける?解ける?」…といった記事だ。

結論としては,「悩ましいところだ」と締められていた。

用法を調べてわかること

「とける」について,用法のうち「雪どけ」に該当しそうなものを。

溶ける … ものが水にとける。(「塩が水にとける」など。)

解ける … ほどく。(「ひもを解く」など。)

融ける … 固体が液状になる。(「氷が融ける」など。)

高校化学を学習し,大学でも化学を専攻してきた私は,迷いなく「融ける」を連想していた。

調べてみると,実際には中国でも「融」の漢字を用いるよう。

が,実際には「融ける」は常用外の読み方であるため,「溶ける」か「解ける」とするのが一般的なようだ。

ただ書くだけであるなら,「『溶ける』『解ける』『融ける』は同義」と書かれた辞書もあるから,適当に使っても問題なさそう

ちなみに,新聞などメディアでは使い方が指定されている表現がある。

たとえば,「メイン」→「メーン」,「メイド」→「メード」などだ。

「雪どけ」は「雪解け」と指定されているのではないかと思う。

自分で考えて予想してみること

小学校の学習では…

「年齢」→「年令」

「十歳」→「十才」

…のように,本来書くべき漢字よりも,より易しい漢字を使うことがある。

これは,社会的に正しいことを示すよりも,本質的な部分を分かりやすくすることを優先することが多いためだろう。

「融ける」という表現も,漢字自体が難しい。

「雪がとける」という現象は小学生にも分かることであるが,「融」という漢字に馴染みがあるのは理科の学習が進んでからだ。

だから,「融ける」の代わりにより馴染みのある「溶ける」「解ける」を使うことが多いのではないか。

…と類推している。

推測できたら,専門分野の方に会う機会があれば,積極的に質問してみることができ,さらに教養を身に付けることができる。

自分の中での結論

本来の漢字の意味に則るなら「雪融け」。

馴染み深さを優先させるなら「雪解け」。

雨など他のものによって雪がとかされる場合なら「雪溶け」。

余談だが,言葉について専門的に扱う新聞社の,「ことば」を扱う記事で雑な結論が出されていたこと。

これについて,やはり新聞だろうがTVだろうが,ネット上の一般人の記事だろうが,「読んだものに対して,自分で考察する」「情報はウラをとる(ソースを知る)」「正しい情報を調べるすべを身に付ける」「自分で思考するクセをつける」…これが,情報社会で必須である。

年配の世代の方々の中には,まだまだこれが受け入れられず,子どもたちに情報社会に触れないよう禁止したりする場面もよく見かける。

いまだに「TVで言っていたから」などのように1つの情報ソースから結論を導くことにより,間違った解釈をする場面も後を絶たない。

まさに「知的怠惰」のなせる業だろう。

子どもたちが社会に出たときに困らないよう,情報社会を生き抜くすべを身に付けられるようにしてゆきたいものだ。