諦めることなく読み終えた。
「諦めの価値」
「なんでも諦めないのが良いこと」とする場がよく見受けられる中,「諦め」について冷静に書かれた良書である。
著者は,以前紹介した「科学的とはどういう意味か」を書かれた森博嗣先生。
この8月に刊行されたばかりの新書。
単に「諦め」が良い悪いといったことではなく,「諦め」とは何なのか深く思考して掘り下げられている。
「諦めはどういった意味か?」
「何を諦め,何を諦めないか?」
「諦めがどのような価値をもつか?」
「拘るべきか?諦めるべきか?」
…等について,筆者がどのように考えているかが書かれている。
読み終えて感じたのは,私の考え方は森先生の考え方と方向が似ており,内容がスッと入ってくるなということ。
例えば,目的達成のために「方法」を諦めることはあるけれど,視点を変えたり他の方法を試してみたりし,「目的」自体は諦めないとか。
「他者に期待しない」「環境に期待しない」とか。
「諦めは次のステップへ移るため」とか。
「大切なのは悲観的な予測と柔軟な思考」とか。
そういったこと。
また,寄せられた質問に答える形式の部分もあり,「一般的な方々が『諦め』についてどのような悩みを抱えているか?」と「それに対し森先生がどのように考えているか?」といった内容を知ることができる。
今後の生き方についてずいぶん参考になる本だった。