「8時前の始業禁止」法案と早起き神話の崩壊

Posted on 2020年6月8日「8時前の始業禁止」法案と早起き神話の崩壊 はコメントを受け付けていません

※ 半年前に書いた記事を,間違えてそのまま投稿しましたが,不都合なさそうなのでこのまま掲載しておきます。(書き方が最近のものとちょっと違うナァ。)

アメリカ・カリフォルニア州で,公立中学校は朝8時以前の始業を禁止,公立高校は朝8時半以前の始業を禁止する法案が可決された。

始業時間を遅らせるメリット

近年子どもたちの睡眠時間が不足していることが話題になっているから,睡眠不足の解消を期待できる。

(ブリティッシュ・コロンビア大学の教授によれば,13~18歳の子どもの場合,睡眠時間は8~10時間必要である)

実験結果によれば,学力試験,出席率,遅刻率について改善が見られた。

始業時間を遅らせるデメリット

朝早く出勤する保護者にとっては,子どもを早い時間に預けられなくなる。

同じ授業数を確保するためには,終業時間を遅らせる必要がある。

早起き神話の崩壊

「早起きは良いこと!」「朝のうちに勉強すべき!」こういった神話を盲目的に信じてきた人は多いし,そういった指導をする教員も多い。

この話は正しい。

だが,「人によっては」である。

早起きは良いのか?という問いに対しては,現在は「人による」というのが結論とされている。

2000年代ごろから「早起きの問題点」に関する研究が盛んになってきている。

最新の研究では,クロノタイプ(時間型)は以下の4種類に分けられることが分かっている。

朝型,昼型,夜型,不眠型…この4種類だ。

このうち昼型がおよそ50%,朝型がおよそ15~20%だ。

だから,世の中が朝型・昼型に適した形で動いているのだろう。

クロノタイプは遺伝子で決まっており,自分のクロノタイプにあった生活をするのがいちばんだ。

「夜型なんだけど,朝型にしたい…」といった悩みを抱え続ける人も多いが,自分のもとのクロノタイプが夜型なのであれば,無理に朝型にする必要は無いだろう。

「朝型にしなよ!そうしたらよくなったよ!」などと言う人もいるかもしれないが,それはその人のクロノタイプの問題であって,他の人のクロノタイプでもよくなるのかは別問題だ。

多数派である朝型・昼型の方々にとっては「朝早く起きるのは常識だし,できない人はだらしない。やるべきことは朝のうちに済ますことが大切」などと考えることもあるだろうけれど,実際には自分のクロノタイプによって常識は異なるのだ。

夜型や不眠型の人は,朝型神話に流されず,なるべく自分のクロノタイプに合った活動をするほうが良いだろう。

特に夜更かしをしてしまう人にはIQの高い人が多いらしいが,私のクロノタイプも例に漏れず「不眠型」に分類される。

(塾講師の活動時間としては,最適なクロノタイプだ…)

いずれにせよ,自分のクロノタイプを無視して無理に朝型に合わせる必要は無いのだ。

せいぜい起床時間を合わせる程度の努力はしても良いが,「集中して勉強する」時間は自分のクロノタイプに合わせてやっていきたいものだ。

まとめ

子どもの睡眠時間の確保は,学力の向上にも効果があるし,勉強時間を増やすことよりも大切なことである。

すなわち,睡眠時間を削っての勉強は,なるべくするべきではない。

(とある中学校では,睡眠時間を削らざるを得ない量の宿題を出す教員が居るそうだが…ノルマ人間しか育たないし,子どものためにも自重してほしいものだ)

自分のクロノタイプを知って意識することにより,効果的に集中時間などを使うべきである。

執拗に「早起き」や「朝型」を推進する方々がいらっしゃるが,もし自分が「夜型」や「不眠型」であるならば,ムリに合わせる必要は無い。

ただし,ムダに反発せず暖かい目で見守ってあげよう。

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