【算数】とある大学の算数

Posted on 2023年8月31日【算数】とある大学の算数 はコメントを受け付けていません

トアル大学……トワイライトプリンセスかな?

とある大学の算数

先月SNSで見かけたもの。

ツリーが随分続いていたので以下引用。

実は昔、とある大学(勤務校の兵庫教育大学ではないです。名前は伏せます)で『数学』の授業の非常勤を数年したことがあるのですが、内容はほぼ算数でした。 その初回でプレテストとして(状況把握のために)いくつか問題を出して、そのうちの一つが「1000円の2割引はいくらですか」という問題でした。

そのプレテストの解答の中には、 「1000−2=998円」 「1000÷2=500円」 他にも 「2割=0.2である。よって 1000÷0.2=5000円」 という解答もあった。楽しい。 プレテストを返却するときに言ったんです。 「割引き、っていうから、割り算か引き算だと思ってるみたいだけど、掛け算だよ」(どよめき)

そのあと色々ありましたが、割合というものを理解せずに大人になると、こういう風になるんだなぁ、というのを目の当たりにした感じでした。もちろん、速さなんて理解してなくて「時速4kmで2時間進と、何km進みますか」という問いに対しても、多くの学生が「はじきを忘れたので、解けません」でした。

面白いことに、そんな彼らも、数の計算ができないわけではないのです。例えば、280×3.2を計算してといえば、計算できます。(もちろんケアレスミスをすることもありますが)しかし、

数直線を書いて、100、200、300、という目盛をつけたあと、280はどこ?(これは分かる)を確認したあと、280×3.2はどのあたり?と聞くと、「そんな難しい計算はやってみないと分かりません」というんですね。なるほど、と思いました。

大事なことは計算の練習ではなくて、割合の表現が何を意味しているかの理解なんですね。そんな彼らに、割合とは何か、速さとは何か、彼らがつまづいてしまったところからきちんと授業しましたよ。

授業の最後の感想文には、「これまで買い物の時、割引ってわからなくて、いつも心配でした。でも先生の授業で、安心して買い物できるようになりました。ありがとうございました」と。ちゃんと、教えれば分かるんですよね。

もしかして、そんな簡単な内容、だれでも教えられるよねと思う人がいるかもしれない。でもね、割引や速さに関する認知がこじれてしまっている(たとえば、「はじき」意外での速さの概念を受け入れ兼ねる、2倍は分かるけど0.8倍の意味は分からない)という「大人」に

概念理解の変革をもたらしつつ、計算できるようにするのはかなりのスキルを要するのです。やってみればわかります。

日常生活を過ごす中で,このように『どれくらい概念理解ができているか?』は顕在化しない場面が少なくない。

会話をする中で『あれ?通じないな』と思う場面が出てきて初めて気付く。

現在の教育課程では5年生で『割合』『速さ』を学習することになっている。

子どもたちに指導していると,以下の場面に出くわす頻度が高い。

『式が与えられれば計算はできる』だとか,たとえば『かけ算の学習で数が2つ与えられれば文脈によらず解ける』といったところで算数が止まっている。

『題意を読み取る』『情報を整理する』だとか,たとえば『0.2倍が何をあらわしているかイメージできる』だとか,そういったところに躓く場面である。

躓くこと自身が良いとか悪いとかいったそういったことでなく,躓くのであればこのタイミングで躓いたことに気付き,成長する機会にしてほしい。

算数は低学年のうちは計算に終始しがちであるし,高学年になっても計算が難無くこなせることは前提部分であり,次のステップに進むために必須のことであるのは間違いない。

が,上述のことを身に付けず小学算数を修了のは非常にもったいないと思う。

このたびのPostのように,そのまま大人になってしまっても生きていくことはできるが,自身の思考で解決できること,推測できること,真偽の区別ができること──の幅がどれだけあるかに関わってくることだろう。

ともすれば,論拠が常に『○○さんが言っていたから』『TVで言っていたから』『web上で見かけたから』『オトクって書いてあるから』になりかねない。

全ての分野について深く通ずることは不可能であったとしても,自身で判断可能な幅は広くとっておきたいものだ。

ここにコンプレックスを拗らせてしまうと,科学と疑似科学の違い,陰謀論などが正常に判断できなくなってしまうのかもしれないなぁ。