話題の本をとりあえず。
辛辣な感想になってしまうため,批判的な内容が苦手な方々はこの記事はスルー推奨です。
『体験格差』
著者は今井悠介氏。
本書は以下の3つの構成からなっていた。
・『体験格差の実態』とする統計データに基づいた章
・『それぞれの体験格差』とする個々人の具体例
・『体験格差に抗う』とする筆者の提案
統計資料は用いられていたものの,条件が曖昧で何を結論とするかは考え方によるような提示であったため,なんとも宙に浮いているような読後感。
個々人の具体例が述べられていたが,web上で極端な例がよく取り沙汰されており,耳にする具体例が少し増えたかなという程度。
はじめに『プライバシーにかかわるから』とフェイクが入れられているとことわられていることもあり,こちらも話半分に読むしかなく,宙に浮いているような読後感。
最後に『格差に抗う』とする表現があまり私の好みではなかった。
『格差に抗う』を強調すると,ともすれば『出る杭を打つ』『足を引っ張る』ことにより均すことを推進しかねないからだ。
『体験ゼロ』の子どもたちをはじめ,体験の貧困を改善してゆくことそれ自体は大切だと思う。
私は学習機会の提供をする職業であるし,これには強く賛意を示す。