広大附属福山,中と高どちらが入りやすいか

Posted on 2019年12月22日広大附属福山,中と高どちらが入りやすいか はコメントを受け付けていません

※匿名掲示板で話題になったと聞いたので注意書きを。情報収集時には投稿日時や情報ソースをご確認の上,ご自身で判断してください。この記事執筆後に高校入試のシステムの変更がありました。その他教育に関するシステム変更は随時行われているため,情報収集時はその道のプロ複数機関に直接ご相談の上,ご自身の責任で行動してください。

また,この記事で扱うのは『入りやすさ』のみであり,出題難度や入り方の価値について言及するのものではありません。事実と価値を混同しがちな方は読むのを控えて下さい。

(連絡先やURLの記載ナシのタレコミであったのでマトモに取り合いませんが,この記事の閲覧数が増加していたのは確かですので上記の注意書きのみ追加いたします。当たり前のことを書かねばならなくなったのは哀しいですね……。)

結論から述べると,高校のほうが入りやすい

偏差値をもとにした考え方

偏差値を検索してみると,次のようなデータが。

広大附属福山中 偏差値 71 ←?

広大附属福山中 偏差値 58 ←?

広大附属福山高 偏差値 75

広大附属福山高 偏差値 74

これだけを比べると,高校のほうが入りにくいように思える。

なぜ,私は高校のほうが入りやすいと判断したのだろう。

学力偏差値についてざっくりと

偏差値は,そもそもあるテストの受験者全体における自分の位置だ。

その集団の中で,真ん中の位置が50。

そして,それよりもどれくらい離れているかが自分の偏差値になる。

学力の低い集団の中で一人だけ高得点を取れば,80や100,120などの偏差値が出せることもある。

反面,学力の高い集団の中で満点をとっても,52や55といった数値に落ち着くこともある。

だから,単純に「偏差値」と言ったところで,「母集団は何なのか?」を考えなければ,正しい認識ができない

周りには,広大附属福山中の偏差値について,60前後になっているものと,70前後になっているものが混在している。

記事を読んでいても「どの集団のデータをどのように計算したのか?」等書かれていないことが多く,「同じ記事内の他校と比べた立ち位置」くらいしか参考にならない。

また,一学年違うだけでもすべての生徒が総入れ替えとなるわけだから,年度ごとに偏差値が変わるのは当然のこと。

(上述のデータもあてにならない…。同じ学年の生徒を追って中高を比較するならば,3年ズラして考えなければならないですしね…。)

中高の偏差値の違い

中学受験の偏差値は,「中学受験をする集団」の中での自分の立ち位置になる。

まず,中学受験をする子のほうが圧倒的に少数派だ。

そして,その少数派のほうが,小学生全体の集団よりも学力が高い。

(この場合,「素の賢さが~」などの例外要素は除き,受験に関する学力に的を絞ることとする。)

だから,その「学力が高い集団」の中での偏差値になるため,例え50であっても,小学生全体の平均と比べれば,ずいぶん学力が高いことになる。

一方,高校受験の偏差値は,「高校受験をする集団」の中での自分の立ち位置になる。

こちらは,高校受験をする子のほうが圧倒的に多数派だ。

そして,「中高一貫校でそのまま進学する集団」のほうが,中学受験を経験してきた層が多いため,学力が高い子が多い。

「高校受験をせず就職する集団」もいるが,これは「中高一貫校の集団」よりも少ない。

つまり,高校受験での偏差値50は,ほぼ真ん中か,真ん中よりやや下位ということになる。

中高の入りやすさをどう比べるか?

結局,「偏差値は周囲の学校との立ち位置を比較するときにしか役に立たないもの」であり,しかも目安に過ぎない

では,何で比べれば良いのだろう?

以下に,私が考えたもののうち5つのことを述べていくので,参考になれば幸いだ。

1.定員と志願者数(または受験者数)

「倍率」という表現を見ることもあるが,「倍率」はそもそも「定員」と「志願者数」を割り算したものだ。

(「志願者数」ではなく,欠席者を除いた「受験者数」を用いることもある。)

だから,パっと見ておよその「倍率」が分かる人であれば,もとの数字である「定員」と「志願者数」を見たほうが全容が分かりやすいだろう。

(上位校の場合,倍率より割合を使い,何%くらい合格しているのか表記したほうがイメージしやすい気もするので,割合も併記…。)

広大附属福山中 定員 120  志願者数 755 (6.3倍,16%)

広大附属福山高 定員 80   志願者数 250 (3.1倍,32%)

(公式ホームページから引用。カッコ内は計算したおよその数値。)

中学校のほうは,厳密には定員が男女別であるから,細かく計算したい方は公式データから計算しでも良いかと思う。

全体としてみると,受験する集団の中でいえば,中学入試では学力上位16%程度,高校入試では学力上位32%が合格…という状況だ。

最新の年度がいちばん分かりやすい数値になるとはなんたる偶然…。

学力を考慮せず倍率や割合だけで見れば,入りやすさは高校のほうが2倍であるという結果に。

2.すでに入学している子たちを考慮

広大附属福山中の定員は120名,そして入学者数は例年122名を採用している。

よって,「広大附属福山高の入試は,広大附属福山に入る学力のある子が,すでに122名抜けたあとの入試である」といえる。

通っている子は「広島県東部~岡山県西部」に集中していることを考えれば,その地域の学力上位のうち122名はすでに高校受験という勝負に参加していない状況であるといえる。

その上,他の中高一貫校に通い,そのまま他校で過ごす上位層も勝負に参加していない状況となる。

だから,適切な表現ではないかもしれないが,実は地域のトップ層がわりとスカスカの状況での受験となる。

3.入試日程

例年,「広島県立高校の選抜I」と同じ

→ 内申点で安全に受験したい子は,公立高校(尾道北高校,誠之館高校など)へ。

岡山県では私立高校の入試が一斉に同じ日に行われるが,この日程と被ることが多い。

→ 被った年は,岡山県からの受験者が減る。

(2020年度は被らないので,岡山県からも受験する子が多い年となるハズ。)

4.高校入試ということ

中学入試では,些細なミスや幸運での大逆転は,現実に起こりうる入試である。

これは,ひとえに「小学校で学習する範囲をなるべく逸脱しない」といった過去の傾向からだ。

(今後大きな変更がある可能性はあるが,それを言えばキリが無いので…。)

ふつう,進学校であれば「中学受験向けの勉強をしていなければ得点することが難しい」といった問題が多い。

だけど,広大附属福山中の場合,小学校で学習するような,基本的な内容を重視している。

これに比べ,高校入試ではおおよそ学力順に合格が決まる。

「本番での大失敗…」もありうるが,それを差し引いてもおおよそ学力順といった具合だ。

だから,高校入試では,堅実に学力を付ければ,合格可能性を高めるのは中学入試よりは易しいといえる。

5.科目数と点数

中学入試が4科目入試であるのに対し,高校入試は5科目入試だ。

これが何を意味するかというと,1科目大失敗しても他の科目で取り返せるかどうかということ。

公式ホームページの「合格者平均点」などを参照すればある程度計算できるが…

中学校では合格者の平均点が 110~120/140 くらい。

高校では合格者の平均点が 150/200 くらい。

言い換えると,合格者の平均減点数が…

中学校では 20~30 くらいで,全体の15~20%程度。

高校では 50 くらいで,全体の25%程度。

…ということ。

まとめ

中高の入りやすさは,偏差値で比較することにはあまり意味がない

合格が学力順に並びやすいのは高校のほう

高校入試は,学力上位層のうち多くの子がすでに参加していない入試

ただし,あくまでも過去のデータをもとにしたものであることと,私見であることに注意

中学入試専門の塾なのに,高校入試を推奨した記事になってしまった。

まぁ,それでも中学で入学するメリットも大きいから,中学での需要が高いのだ。

中学で入学するメリットについてもそのうち書いていきたい。