広大附属福山中の国語の出題2021-1

Posted on 2021年10月5日広大附属福山中の国語の出題2021-1 はコメントを受け付けていません

「【本】はずれ者が進化をつくる」とどちらのタイトルにしようかなぁと思いつつ,今回は「塾ブログ」を優先した。

広大附属福山中の国語

何度かに分けて,出題された書籍を紹介してゆこうと考えている。

事前に読んでしまうのは,初めてやったときの感触が分かりづらくなるのでもったいないとは思うものの,「こういったレベルの文章が出題されるのか」という参考にはなるだろう。

「ともや塾」では,2001年度入試から2021年度入試までの21年分,計26冊の本をすべてそろえている。

(2000年以前のものは歯抜けとなっているため「すべて」とはいえないからこのような表現にしたけれど,2000年以前のものも含めれば,36冊となる。)

21年で26冊ということは,多くの場合出題された書籍は1冊のみ。

見たことのある方ならお分かりの通り,1冊から長い部分が抜き出されて出題されることがほとんど。

2冊である場合も,文章量はなかなか多いものとなっている。

今回は2021年度に出題された2つの書籍のうち1つを紹介。

「はずれ者が進化をつくる」

副題は「生き物をめぐる個性の秘密」

著者は稲垣栄洋さん。

私はネットで購入したのだけれど,オビに「2021年国立・私立中学入試【国語】出題数No.1作品!」と書かれており,このようなことがらも謳い文句となるのだなぁと,ふふっと笑みがこぼれてしまった。

「『進化』に関する内容がメインかな?」と思って読んでみたものの,「進化」についても詳しく述べられているけれど,「個性」「多様性」についてのお話がメインであった。

子どもに向けて語りかけるような文体であるので,非常に読みやすく書かれていると感じた。

出題された部分は(私の所持している版では)P.59-69の「『ふつう』とは何か?」の一部。

よく「平均」だとか「ふつう」だとかばかりにとらわれる風潮に対し,理路整然とそれらが何なのかを説明されている部分だ。

まさに日常的に「ふつうが良い」だとか「平均より上か下か」ばかりを気にしているような中で育った子には読みづらいかもしれないが,「個」を大切にする中で育った子には読みやすい内容だといえ,私としてはこの出題はタイヘン好感触であった。

(子どもたちには雑談でちょくちょく述べているけれど,「平均」なんてものは全部足して割っただけのもので,それを参考にすべきときとそうでないときは自分で判断する必要がありますよね。塾では「平均」「中央」「最頻」「最高」などの扱いについて言及することがちょくちょくあります。)

この年の過去問を一度解き終わったならば,ぜひ通して読んでみてほしいなと感じる,そんな本である。