12月に読み終えていたのだけれど,お知らせ記事に押され,投稿するタイミングは年を越してしまった。
無(最高の状態)
著者は鈴木祐さん。
氏は別名「パレオな男」として,ブログも私より高い頻度で更新されている。
(私もホームページ開設から今まで毎日更新しておりますが,それより高い頻度とは…。)
↑ブログ
年間5000本の論文を読むとのことで。
そこで得られた知見をもとにメタ分析を行いながら,身体的にも,精神的にも,健康に関わることを多く執筆されている。
もともと氏のブログはちょこちょこ閲覧させていただいていたのだけれど,本屋で書籍を見かけ,目次と中身をパラパラ眺め,「これは自分にとってプラスになる」と感じ,購入。
「自己啓発」という表現を使うと何やらスピリチュアルな感じがするものだけれど,ヒトの性質について知ること,自身の性質について知ることは,今後を生きる上で重要な知見であると思う。
さて,今回の書籍は,タイトルの「無」もそうだけれど,各章のタイトルも「苦」や「虚構」などシンプルな漢字で構成されており,どこか仏教然とした雰囲気である。
内容については,脳科学の見地,心理学の見地,健康法の見地,…いかにも論文をたくさん読みこんだ方の視座からのものになっており,一冊で多くの見地から導き出された思考を読むことができる。
例えば「ヒトの脳は0.1秒でストーリーを生み出す」といった項がある。
内容は「周囲の状況,今までの経験から,脳が先を自動的に予測する」「現実を感覚器官で捉え,違っている部分のみ自動的に修正する」といったもの。
この機能によって日常生活の多くの場面で助けられているものだけれど,逆にこの機能によりミスをすることもある。
ふだんから,ヒトは論理的な思考ではなく常に「予測」で行動している状態がほとんどだなぁと,そんなことを考え,「論理」は大切なのだけれど,最適な予測や修正を自動的に行うために,さまざまな視点を持つことが大切だなぁと改めて認識するなど。
もし「ファスト&スロー」を既読であれば,「システム1を強化する」といったことかしら。
昨年「特に印象に残っている10冊」として最後の1冊に紹介するくらいには,良書だった。
(「ファスト&スロー」も良書ですので,ぜひ。)