モンティホール問題

Posted on 2020年3月12日モンティホール問題 はコメントを受け付けていません

京都大学へ訪れたとき,久しぶりに聞いた話題だ。

モンティホール問題

「モンティホール」とは何だろう?

アメリカのテレビ番組の司会者の名前だ。

とあるテレビ番組で行われていたゲームに関する論争が,「モンティホール問題」だ。

単元でいえば「確率」,それも「条件付確率」の問題であるから小学生の範囲外ではある。

が,フロリダ大学の博士なども含め,正しい解答に反論する間違った解答の投書が1万通以上も届いたという。

それくらい,「直感で正しいと思える解答と,論理的に正しい解答が異なる問題」として認知されている。

ゲームのルール

番組の内容を簡略化したものを紹介する。

京都大学のサークル「S2S」では,トランプを使って次のようなゲームにしていた。

勝ち負け: プレイヤーがAを当てたら勝ち。Aを当てられなかったら負け。

1.出題者はカードの内容を確認し,A,K,Kの3枚のカードを裏返しにして机の上に置く。

2.プレイヤーはカードを1枚選ぶ。(まだ裏返しのまま)

3.出題者が残りのカードのうち,Kである1枚を表にする。

4.プレイヤーは残りの2枚のうち,1枚を表にする。(初めに選んだほうでも良いし,変更しても良い。)

このゲームの何が問題なのか…。

それは,とある疑問がわいたことにある。

「カードが2枚になったとき,プレイヤーは最初に選んだカードのままにしたほうが良いのか?それとも選ぶカードを変更したほうが良いのか?」

こういった疑問だ。

初めて知った方は,どうか答えを検索する前に少し考えてみてほしい。

浮かび上がる2つの解答

1.「どちらにしろ2分の1」

2.「変更したほうが2倍も当たる確率が上がる」

初めて見かけた方は,どちらの解答だっただろうか?

この問題で数学的に大切なのは,「出題者はKを表にする」というところだ。

それから正しい解答を理解するのに助けとなるのが,「初めから変更するかしないか決めておく」と考えることだ。

文面だけだと分かりづらいかもしれないから,実際にカードを並べて考えてみると分かりやすいかもしれない。

「変更しない」場合

3枚のうち,Aは1枚だけだ。

だから,最初に選んだときにもう確率は決まっている。

3分の1だ。

「変更する」場合

1.初めにAを選んでいた場合。

初めにAを選ぶ確率は3分の1。

そして,「変更する」と決めている。

残りの2枚のうち,出題者がどちらを表にしたとしても,変更すればハズレだ。

2.初めにKを選んでいた場合。

初めにKを選ぶ確率は3分の2.

そして,出題者がもう1枚のKを表にしてくれる。

残るカードは確実にAだ。

「変更する」と決めているから,確実にAを当てられる。

よって,初めから「変更する」と決めておれば,Aを当てられる確率は3分の2。

すなわち,「変更しない」場合の3分の1と比べれば,2倍となる。

実際の統計データ

京都大学のサークル「S2S」では,実際にモンティホール問題の結果の統計をとっていたが,見事に33%前後,67%前後となっており,感心してしまった。

(具体的な数値を写真に撮り損ねました…スミマセン。)

「2分の1」がなぜ誤答なのか?

「2枚のカードから1枚を選ぶ」

これだけであれば,「2分の1」で正しい。

だけど,その前に「出題者は残ったカードからハズレを選んで表にする」という条件がつく。

もしここで「出題者は残ったカードから好きなカードを選んで表にする」であれば状況は変わっていた。

「出題者がハズレを表にする」という行為が,プレイヤー側のハズレの確率を下げる行為になっているともいえる。

これは,「ある人に2人のきょうだいがおり,そのうち1人が女の子であることが分かっている。残りの1人が女の子である確率はいくつか?(ただし,人が男である場合と女である場合は同様に確からしいとする。)」という問題に似ていると思う。

これも直感では「2分の1」と言ってしまいたくなるところだ。

この問題はネット上ではちょくちょく話題を見かけていたので文面では知っていた。

だが,先日の11月祭で実際にプレイヤーとなることにより,より理解が深まった。

これまた文面なので上手く紹介できているかは分からないが,「面白い」と思った方は,実際にトランプなどを使って考えてみると理解が深まることと思う。

こういった有名な問題,予想,定理は調べれば調べるほど楽しくなってしまうから時間がどんどん吸い取られていくのが難点。

(余談だが,トランプは国によって呼称が異なり,英語ではプレイングカード(プレイングカーズ)と呼ぶ。某大統領と同じ呼称になっている国はごくごく少数派。)