明るいニュース!
どのような名称の定理になるのだろうか!?
予想
中学2年生で「証明」という単元を学習するが,数学では,証明された道具を「定理」という。
「三平方の定理」などは,お世話にならない人はいないくらい,有名な定理だろう。
「定理」は簡単に証明できるものから,証明の難しいものまである。
数学の世界では,「おそらくこういったきまりがあるのだろうけれど…」だとか「こういったきまりがあれば,他の未解決問題もうまく説明できるのだけど…」といったものなどを,「予想」とよぶ。
「予想」の中には,数百年も解決されていないものもあり,1億円ほどの懸賞金がかけられているものも…夢がふくらみますねぇ…。
証明と査読
このたびの「ABC予想」は,1985年に提唱されたものであり,それが京都大学数理解析研究所の望月教授により,2012年に証明されたものだ。
8年前に証明されたのに,なぜ2020年に話題になるのだろうか…?
数学は,思考力さえあれば,補助として紙とペンがあればどのような文化のもとでも扱うことができる。
ゆえに,数学者は数千年前から存在しており,導かれた定理は,その後の歴史を歩む数学者たちが活用してゆく。
つまり,証明が易しいものほど,歴史上古い時代に証明されており,証明が難しく,どの数学者も証明できていないものが現在も「予想」として提起されているものだ。
だから,このたびの証明は,「今までの歴史上,どのような賢い人でさえ,取り組んだ誰もが説明できなかったこと」を証明したことになる。
その内容は難解で,数々の数学者が理解することに時間がかかり,またその正しさを確認するにはもっと時間がかかるということ。
これに8年の歳月がかかったというのだ。
世界中の数学者が確認するのに8年の歳月がかかるほどの証明をやり遂げたのだから,望月教授の偉大さがよくわかることと思う。
今回の「ABC予想」も,その予想自体が「高々有限個」などの表現が使われており,「高校数学を学べば,『高々~』が数学ではよく用いる表現であり,『有限個』という概念もふつうの表現として受け入れられるのだけれど…」といったものだ。
数学者
春期講習中に,たまたま「偉大な数学者」について話すことがあったが,そのときに私はラマヌジャン氏を紹介した。
正直に述べると,現代の数学者の扱う理論は,私にはレベルが高すぎる。
ゆえに,数学上の功績よりもその生涯や逸話にばかり目がいく。
だから,先述のラマヌジャン氏やガロワ氏のような激動の人生を歩んだ数学者が好きになってしまう。
高校生の扱う分野の中では,「微分積分」を発展させたニュートン氏やライプニッツ氏に偉大さを感じる。
(ニュートンは万有引力ばかり取沙汰されますが…。)
小学校でもおなじみの「円錐や角錐の体積計算で使う『3分の1』」がどこからきたのか…なぜ「3分の1」なのか…これも積分を理解すれば容易に導くことができる。
(小学校では,ある特定の場合について「ちょうど3分の1になる」ことを確かめるかもしれないが,全ての場合について「3分の1」になるのかは,高校3年生の数学まで学習する必要があるのだ…。)
名称
数学の分野ではないから全く関係ないのだが,日本人の名前のついた数学用語や実験手法はいくつかある。
中でも2010年にノーベル化学賞を受賞した「鈴木・宮浦カップリング」などは記憶に新しい。
(20世紀最後の偉業!)
ちょうど私が北海道大学に在籍していたころには,鈴木教授はすでに退官されていたが,有機化学の講義は,まさに宮浦教授の講義であった。
(大学教授にありがちですが,研究のほうがメインだからか,失礼ながら講義はふつうでした…。)