数年前,「過去問ばかりやる塾」を批判する塾の広告があった。
塾業界は周りの塾を敵視していることも多く,すぐに他社を批判する傾向がある。
もし客観的に批判すべき要素があるのであればそれでも構わないのかもしれないが,「地域の学力アップに貢献する」という「社会に貢献する」目標をもっていれば,そんなことをしても自身の価値を下げるだけであろう。
過去問ばかりを受けるべきか?
結論から述べると,広大附属福山中入試に限って言えば,「過去問ばかりを受けるべきである」。
私は小学6年生の指導をするにあたり,年度の初めに必ず言う。
「過去問とその解説がいちばん大切な授業である」と。
だから,過去問の解説は欠席者のために毎回ビデオを撮って,あとで閲覧できるように用意している。
なぜ過去問が大切なのか?
過去問といっても,育伸社などが実施している一般的な模試とは違い,「過去問」が大切である。
(育伸社の模試は,中学受験の学力について全国的な自分の立ち位置をするために有用であるし,批判する意図はないことを明言しておく。)
なぜ大切なのかというと,「広大附属福山中入試と似た形式,似た出題の試験がほとんど無いから」だ。
いくら1問1問について「分かる問題」であったとしても,「同じ流れで受ける練習」をしておくべきだ。
時間配分,受け方等,当日は「いつも通りやれば大丈夫」という状態で臨めるようにしなければ,問題1問1問に集中することは難しい。
だから,毎週のように過去問に取り掛かることは,何よりも大切である。
できれば当日中に解説を!
私は過去問を行ったら,その直後に解説を行うようにしている。
解説といっても,「全員の全科目の答案を採点し,どの教科のどの問題がどれくらいの人数が解けていて,どのような間違いがあったか」まで把握してから解説をする。
でないと,いくら解説らしいものを行ったとしても,見当違いの解説になりかねないからだ。
年度によってどの科目に比重を置くべきかも異なるから,一人の講師が全ての科目を解説することには大きな意味がある。
また,「その日のうちに」することも大切だ。
何しろ次の日になれば,問題のことなど忘れていることが多く,子どもたちの興味も著しく低下,集中力も落ちるということは明らかだ。
(24時間後には,50%~80%の内容を失うことが分かっている)
解き終わった直後であれば,分からなかったところに関して「正解が知りたい!」という気持ちもわきやすい。
注意!早めにやりすぎない!
中学入試に関しては,出題範囲のうち多くが6年生で学習する内容である科目もあり,「早めにやりすぎる」ことはオススメしない。
あまり過去のものに遡りすぎると形式が異なるものになるし,現行の傾向のものに絞れば数は多くないからだ。
だから,ほとんどのものは秋口以降に解き始めるべきだ。
私は「実際の試験はこうだ」と体感してもらい,モチベーションを上げるために,6年生の4月ごろに1年分過去問をやってもらう。
だけど,これは「6年生の4月時点の学習内容でほぼカバーできる年が,何年の問題であるか」を知っているからできることだ。
ここに注意せずに過去問をやってしまったとすると,秋口以降にやれるはずだった過去問を1年分潰してしまうことになりかねない。
だから,こういった役割は塾に任せてほしい。
まとめ
広大附属福山中入試において,過去問はいちばん大切な授業。
全科目について,答案から得られた情報をもとにした解説を聞く。
受けたその日に解説を聞く。
(特に国語はその日。そして社会は独自傾向なので必ず聞く。)
欠席した場合,後日でも過去問を受け,解説ビデオを観る。