「計画を立てて実践しましょう」
よく言われることだ。
だけど,計画を立てたがゆえに起こる,ネガティブな効果がある。
「どうにでもなれ効果」とは何か?
和訳すると「どうにでもなれ効果」とよぶものがある。
「The What-The-Hell Effect」だ。
勉強をするときに「1日に10ページ目標ですすめる!」という計画を立てたとする。
目標通りこなしていれば問題ないのだが,ある日「5ページしかすすまなかった」という日があったとする。
すると,「今回目標を達成できなかったから,明日からももう10ページやらなくてもいいか…」となってしまうことがある。
こういったものが「どうにでもなれ効果」だ。
もちろん全員が全員こうなるわけではないし,同じ人でも,場合によってなったりならなかったりすることがあるだろう。
「どうにでもなれ効果」に関する研究
トロント大学で,実際に実験が行われた。
ダイエット中とそうでない人を対象とし,「ピザを食べてもらってからクッキーも食べてもらう」という実験をした。
ピザにはトリックがあり,被験者の何人かに,普通量であるのに「ダイエット中の制限を超える大きさのピザだ」と偽って渡した。
結果,「ダイエット中の制限を超えるピザ」を食べたと思い込んだ人たちは,食べたクッキーの量が50%も多かったというもの。
一度計画したものについて「失敗した」と思い込んだ人たちは,その後も「さらに多くの量を食べた」という結果になったのだ。
「どうにでもなれ効果」が起こる場面
勉強,ダイエット,お金,…さまざまな場面で起こりうる。
「どうにでもなれ」というわけではないが,「高い買い物」をするときに,端数の金額がさほど気にならなくなるのもこれに似ているだろう。
だけど,「どうにでもなれ効果」があると知っているだけで,「今『どうにでもなれ効果』になっていないか?」と自分を客観的に見ることできるようになるわけだから,知っておいて損はないだろう。
「どうにでもなれ効果」を防ぐために
防ぐ必要が無い場面では,気にしなくても良いのだが,防ぐべき場面もあることと思う。
特に起きやすいのは以下の2つの場面だ。
1.短期目標
2.禁止目標
この2つの目標には「どうにでもなれ効果」が起きやすいから注意したい。
防ぐには,以下のような方法が提案できるだろう。
1.「短期目標」はなるべく「長期目標」へ。
2.「禁止目標」はなるべく「獲得目標」「代替手段」へ。
これに付け加えるならば,「目標は具体的ではなく抽象的であるほうが良い」といった研究もあるので,詳しく調べたいところだ。
また,目標自体を「最低目標」と「最高目標」の2段階設定し,目指すのは「最高目標」だが,そこまで届かなくても「最低目標」だけは上回るようにする…というように,目標自体に幅を持たせるのも効果的に活用できるだろう。