「語彙力」への関心が高いので,読みました。
「3000万語の格差」
副題は「赤ちゃんの脳をつくる、親と保護者の話しかけ」
著者はダナ・サスキンド女史。
原題は「Thirty Million Words: Building a Child’s Brain」
直訳すると「3000万語: 子どもの脳のつくり方」となるだろうか。
翻訳では「格差」といった表現が使われたり,「赤ちゃん」といった表現が使われたりしている。
本書の中では,いずれも私の好きな書である,
アンジェラ・ダックワース先生の「GRIT」,
ポール・タフ氏の「成功する子,失敗する子」,
アダム・グラント氏の「GIVE&TAKE」,
…等も紹介されており,「すべて繋がっているのだなぁ…」と感じるなど。
「遺伝子」や「小さい頃の接し方」についての話題は荒れがちであるし,言葉尻にとらわれた批判も生まれがちであるので,避けたいところだけれど…。
生まれたときから「遺伝子」「環境」により成長の幅はある程度決まってしまっているもの。
まさに「ニーバーの祈り」にある「変えられるもの」「変えられないもの」のうち,「変えられないもの」は受け容れる必要がある。
「変えられるもの」については方向性を見極め,知識を仕入れ,努力してゆくことにより「変えることができる」。
これについて,今ではよくいわれるようになった「3歳までの接し方」は特に重要であるということが述べられていた。
ポジティブに考えれば,「3歳までに何ができるか」を親が勉強し,活かしてゆくことをすべきだろう。
大切なのはネガティブにとらえないことで,たとえば「3歳が過ぎたから何をしてもムダ」としてしまわないことだ。
単なるタイムリミットととらえず,「過ぎたならば過ぎた中で何ができるか」を考えることだ。
本書では,3つのTについて繰り返し述べられていた。
3つのTとは,「Tune In」「Talk More」「Take Turns」。
これらを家庭で実施することは,いかなるときでも特に大切である。
特にはじめの「Tune In」について,いちばん意識してゆきたいなと考える。
やみくもにコミュニケーションをとろうとしたところで,子どもは自身に関心が向いているか否かには非常に敏感である。